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「うん、そうだな。俺も反対の立場なら嫌だって思う」


だから俺も出来るだけ素直に言葉にしようと思った。


「……北山」
「でも裕太は小細工とかする奴じゃないし、藤ヶ谷にとっても大切な友達だと思うから。それに……俺が好きなのはお前だし……」


藤ヶ谷が好きだという気持ちは変わらない。多分、一生。


「ちゃんと断ってくれたんだって知って嬉しかった」
「なに? 断ってないと思ってたの?」
「断ってくれてるとは思ったけど、本当に俺を選んでくれたんだって」


今までは藤ヶ谷の気持ちだって自分の気持ちだって、いつ変わるかわからないと思っていた。


「選んだとかじゃなくて、俺は藤ヶ谷だけだから」


この世界には沢山の人がいて、色んな出会いがある。だけど溢れる恋愛ソングほど恋なんて見つからない。

藤ヶ谷の気持ちは変わってしまうかもしれないが、隣にいれば俺は藤ヶ谷しか好きになれないと知った。


目を見開いた藤ヶ谷がくしゃりと嬉しそうに目を細めた後、顔を近付けてきた。それに合わせ瞼と閉じた瞬間、インターホンが鳴る。


「……裕太かも」
「いいって」
「引っ越し業者も来る時間だけど」


片目を開けると藤ヶ谷は眉間に皺を寄せ、叫びながらインターホンに出た。


「はいっ!」


と勢いのままロックを解除すると、勢いよく通話ボタンを切る。



しばらく待つと引っ越し業と一緒に裕太が現れ、バタバタと荷物を入れ終えるとダイニングテーブルに腰を下ろした。


「前も思ったけど、宏光んちの家具って最初からセットで売ってたみたいだよね」
「あー、まあ採寸はきちんとしてから買ってるけど」


裕太が買ってきてくれた高級弁当をつつきながら、ある程度片付いた部屋を見渡す。


「母さんがやっぱり宏光に家の家具を見て欲しいって言ってるから、今度時間取ってくれないかな」
「でも……」
「大丈夫。ちゃんと話したし、それとは関係なく宏光にやって欲しいみたいだから」


罪滅ぼしではないが、もし俺に役立てることがあればやりたいと思う。


「じゃあ、やらせてもらおうかな」
「ちょっと! 俺を無視して話進めないでくれる?」
「ガヤ関係なくない? お金も払うし、ちゃんとした仕事だから」
「北山に関することは全部関係あるに決まってる」
「えー、めちゃくちゃ面倒なんですけど」
 

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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん!最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします!(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん!私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん!完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます!私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか(笑)今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2022年7月1日 0時

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