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そんな俺を肩で息をしながら睨みつけてきたが、藤ヶ谷も友人をやめる気はないんだと分かり安堵する。
「今日仕事は?」
裕太がナビを設定し終わる頃に乗ってきた藤ヶ谷が、息を荒くしながら口を開いた。
「やる気が起きなかったから今日は休みにしてもらった」
「それ大丈夫なの?」
「最近休んでなかったし、いいですよって。やる気って職場に行けば出るってもんじゃないしね」
裕太の両親にどう話したのか気になっていた。
陽子さんにも申し訳なかったし、もしかしたら仕事も辞めさせられるかもしれないと思った。だがそんな話はなく、裕太が全部責任を負ったのではないかと心配だった。
「俺のモチベーションは宏光だし、それもあって今日会いに来たの」
急な爆弾発言に藤ヶ谷が「は!?」と鋭い声を上げる。
「北山どういうこと?」
眉を吊り上げて見てくるが、そんなこと俺にだって分からない。
「振られはしたけど、だからってそんなすぐ諦められないでしょ? 仕事のモチベーションも保てるか分かんないし、だったらしばらくこのままでいいかなって」
「なにがだったらだ! いいわけないだろっ」
「でも俺のやる気がなくなったらガヤも困るでしょ?」
「脅しかよ!」
「脅しとかじゃなくて、ただの事実。あー、そろそろ着きまーす」
電車だともう少し時間が掛かるが、どうやら車だと近いらしい。藤ヶ谷にストップを掛けるように告げられた言葉に窓の外を見ると、確かに新居の近くだ。
「へー」なんてしばらく外観を見たあと、俺と藤ヶ谷を下ろし裕太は近くの駐車場に車を止めに行った。
「ねえ、新しい家知られたんじゃない?」
「あ、そうだな」
「そうだなって、北山は危機感なさすぎ!」
「危機感って、別に何かされるわけじゃないんだし」
「家に来るだけで危険だから」
先に部屋に行き窓を開けると、見て回る間もなく簡単にモップで床を拭き始める。
「でも裕太がやる気なくしたら困るのは本当だろ?」
「それはそうだけど……」
「お前だって仲悪くなりたいわけじゃないだろうし」
裕太は藤ヶ谷にとっても大切な人だ。色々言っているが仲違いしたいわけではないだろう。
「そうだけど、たまが北山をまだ好きなら近づいて欲しくない」
藤ヶ谷がこんなにはっきり言葉にするなんて思っていなかった。
変わったとは思っていたが裕太に対する態度といい、ここまで意思表示が出来るようになったことに驚く。
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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん!最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします!(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん!私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん!完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます!私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか(笑)今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2022年7月1日 0時