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「あの時は一人で盛り上がって、なんで喜んでくれないんだってイライラしてた。北山に言われたから両親に話したみたいな言い方になっちゃってたと思う、ごめん」


あの時は腹が立って仕方がなかったが、あとから冷静に考えたらまるで無理に言わされたかのような言い方をしていた。
それでもやっぱりもう少し喜んでくれてもという気持ちがあったが、不安な気持ちを抱えていた北山があんな風に言われたらそりゃ答えられないよなって素直に思う。


「紹介して欲しいって言ったようなものなのに、あんな態度しかできなくて藤ヶ谷が怒るのも無理ないよ」


北山の口からも素直な言葉が聞こえて、最近話せば喧嘩していたのに今は澄んだ空気が流れているように感じる。


「いっぱい振り回してごめん」


北山は背筋を正しまっすぐ見つめると、深く頭を下げた。


「藤ヶ谷が変わったのは気付いたのに、俺は自分が傷つくのが怖くて欲張りになってた」
「北山……」
「藤ヶ谷がまだ俺に嫌気がさしてないなら、これからも一緒に……」
「嫌気なんてさすわけない」


北山の言葉を遮った。だってそんなの決まってる。


「嫌気なんてさすわけないよ。そりゃ不安だったし怖かったけど、俺の前でカッコよくいたかったなんて可愛いしかないじゃん。それに不安にさせたのは俺のせいだし、今まで色んなことをちゃんと考えられてなかったんだって分かった」
「ふじがや……」


北山の目から涙がこぼれ落ちる。
映画やテレビで感動して泣いてるが、それ以外で涙を見たのは俺が告白した時だけかもしれない。


「これからも気付けないことがあるかもしれないけど、そんな時は教えて欲しい」


ようやく色んなことを正面から考えられてなかったと気付けたが、これから先すべてにおいて正面から捉えられるかと言われたら自信がない。

でも北山を不安にさせたくないし、俺も今回のような思いは二度とごめんだ。


「……面倒だとか思わない?」
「絶対思わない」
「わかった」


北山は薄く笑って頷いた。

多分信じてないのだろう。


もちろん信じて欲しいが、好きと信頼はイコールじゃないと北山は言った。

今までそれだけ北山を不安にさせていたというの現れなんだと思うから、これから態度で示していくしかない。
 

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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん!最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします!(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん!私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん!完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます!私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか(笑)今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2022年7月1日 0時

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