180 T ページ30
宏光に避けられている気がする。
今まではどんなに忙しそうでも翌日には返信はあったし、隙を見て突撃すれば渋々ながら家にも入れてくれた。
だが今はしばらく会えないの一点張りで、連絡しても既読スルー。会いにいっても居留守なのかインターホンに応えない。
こうなったのはガヤに一緒に行くのを断られた日から。だからといって関係が修復した様子でもないし、もしそうなら宏光は言ってくるはず。
ガヤと何かあったのは間違いない。その何かが俺と距離を取らせている。
その理由を考えたが、俺には高度過ぎてわからない。だがこのまま距離をおかれたら、何も始まらないうちに終わってしまう。
こういう時に上手くやれるマニュアルがあるのかもしれないが、俺には会いにいくという選択肢しかない。
だから仕事が早く終わった日、宏光のマンションの前で待ち伏せした。
宏光は22時頃、コンビニの袋を持って帰ってきた。俺を見て驚いてはいたが、逃げたりはしなかった。
「こんなところで何やってんだよ」
「宏光待ってた」
「待ってたって……」
「だって宏光会ってくれないから」
そう言うと気まずそうな顔をしたあと、ごめんと言った。
「何時からいたの?」
「えーと、20時くらい?」
「もう二時間も経ってんじゃん! なにやってんだよっ」
「さすがに寒かった〜」
「風邪引いたらどうすんだよ」
あんなに避けられてたのにほらっ、とあっさり俺を家に上げてくれる。
宏光は優しいから弱さを見せられると突き放せない。
「とりあえずそこのブランケット使って」
ソファの上を指し、バタバタと動き回っている。
言われた通りソファに座りブランケットを取ると、宏光の匂いがした。
宏光の匂いは落ち着くしドキドキする。やっぱり好きだなって思う。
「飯食った?」
ブランケットを抱きしめながらぼんやりと考えていたら、いつの間にか淹れてくれたお茶がテーブルの上に置かれた。
「ううん、まだ」
「うーん、コンビニのおでんしかないんだよなー」
持ってた袋はおでんだったんだと思いながら、なんだか可愛くて笑ってしまう。
「なんか取る?」
そうだなーと悩んでいる姿を横目にお茶を飲み、変わらずの濃さにほっとした。
「まあそれはあとで考えるとして、とりあえず風呂入ってこいよ。体冷えてるだろ」
あんだけ避けといて風呂に入れてくれるんだ? と内心驚いたが、もちろんそんなことは口に出さない。
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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん!最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします!(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん!私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん!完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます!私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか(笑)今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2022年7月1日 0時