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「え?」
「こうやって宏光と毎日、一緒にご飯が食べられたら幸せだなって。他愛のない話とかその日あったことを、聞きたいし聞いて欲しい」
顔を見たら今日一日がどんな日だったか何となくわかるだろう。
楽しかったなら俺にも分けて欲しいし、辛かったなら慰めてあげたい。
「宏光の一番近くにいたい。だから結婚を前提に、僕と一緒に住んでくれませんか?」
「は!? 結婚?」
「日本じゃ結婚は出来ないけど、養子縁組すれば家族になれる。母さんもそうしたらって言ってくれてるんだ」
宏光はこれ以上大きくならないんじゃないかと思うくらい目を見開いていて、こんな時でも可愛いと思う。
「いやちょっと、そんな急に……」
「とりあえずどっちかの家で住むのでもいいし、新しく二人用の部屋を借りてもいいし」
宏光が戸惑っているのは分かっていたが、今が踏み込む時だ。
「そんなすぐには決められないだろ」
「お試しでもいいよ。最初は長いお泊りみたいな感じで」
宏光は押しに弱い。だから渋々でもいいと言わせたくて畳みかける。
「そう言われても……」
「じゃあ俺がここに通うのは?」
「ええー……?」
はっきり断りはしないけど、頷いてもくれない。
宏光のこういうところが期待させるけど、わざとやってるんじゃないと分かるから困る。
「とりあえず今日は泊まっていい?」
「え、泊まるの?」
「うん」
じゃーん、と鞄の中からお泊りセットを取り出して見せると宏光は大きくため息をついた。
「泊まる気満々じゃねーか」
「ばれたか」
無理やりなんて気はないが、絶対泊まろうという気持ちでいた。
「んー……別の部屋で寝るなら」
「どこで寝るの?」
「俺はソファで寝るからベッド使って」
「それは悪いよ」
「客なんだから遠慮すんなよ。俺はどこでも寝られるからさ」
客と言われて、それはそうだが心の距離を表しているように思える。
だがここで駄々をこねると帰らされそうではーい、とだけ言った。
先に風呂に入らせてもらい、化粧水使っていいからと言われ開けた棚にシリーズで並んでいる基礎化粧品にガヤが浮かんだ。
風呂場に置いてあったいい匂いのボディソープや、二つ並んだ歯ブラシ。
ぱっと見はなくても、探せば面影なんていくらでもある。
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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん!最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします!(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん!私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん!完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます!私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか(笑)今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2022年7月1日 0時