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今更気付いた気持ちに更に気分が下がっていると、じゃーん! と裕太がテーブルに弁当を広げた。


「なんか凄くね?」


想像以上の弁当の豪華さに驚いてしまう。


「やる気満々でも自信なくしてても、元気が出るように奮発した」
「どっちに転んでもいいようになってんのかよ」
「だって宏光に元気だして欲しいから」


ニコッと笑う顔に不覚にも泣きそうになった。


二重になった弁当箱の一段目にはつくね、たまご焼き、おかき揚げなど沢山の副菜が彩り豊かに詰められ、二段目は真っ白なご飯の上にA5ランク和牛のサーロインの西京みそ焼きがミディアムレアで乗っている。

口に入れるとごぼう醤油タレが肉の旨味を引き立て、めちゃくちゃ美味しい。


「すっげー美味い!」
「ほんと? じゃあ俺も食べよー」
「お茶淹れててくる」


ガッツいてお茶をいれるのを忘れていたと、慌ててキッチンに向かった。


「宏光が淹れてくれるお茶好き」
「そうか? その辺のスーパーで売ってる安いやつだけど」


いいお茶は色がそんなに出ないみたいだけど、俺は渋いくらいのが好きで抹茶に近いような色合いだ。


「お茶がっていうか、俺の為に淹れてくれるのが嬉しい」


裕太の前にお茶を置くと嬉しそうに言うから、俺も同じだなと思う。

美味しい弁当はもちろん嬉しいけど、俺のことを心配してわざわざ買って持ってきてくれたことが嬉しかった。


気持ちを察して、寄り添おうとしてくれる。こんなに俺のことを考えてくれる人がいるだろうか。


「宏光」
「あ、なに?」


ぼんやりしていて箸が止まっていた。名前を呼ばれ、慌てて箸を持ち直す。



「一緒に住まない?」
 

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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん!最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします!(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん!私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん!完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます!私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか(笑)今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2022年7月1日 0時

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