君以外もう知らなくていい 4

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「忙しいけど宏光に会う時間はあるんだよね」


そう言いながら甘い笑顔を見せる裕太。

これはモテるよなと思いつつ、照れてしまうのは仕方ない。


「……そうなの？」
「ふふ、照れてる」


隣に立って顔を覗き込むように言われると、黙り込むしか出来なくて困る。


「今日は家でデリバリー頼もうよ」
「あー、わかった」


藤ヶ谷と鉢合わせてして以来、裕太は俺の家に来たいと言わなくなった。同棲しているわけじゃないが、自分の家に上げるのは抵抗があったからほっとする。


上品な和食弁当を食べながら、裕太が口を開いた。


「今日、母さんからコーディネーター紹介するって言われたんでしょ？ 紹介してもらいなよ」
「や、でも」
「チャンスが回ってきたら掴まなきゃって言ったじゃん」
「よーこさんは裕太の恋人の俺に言ってるわけだろ？ だからなんか」
「そうかもしれないけど、母さんは俺の恋人じゃなくても宏光を気に入ってくれたと思うよ」


そうであったら嬉しいが、裕太の為というのが大前提だろう。


「いや、それはどうだろ」
「宏光、インテリア好きでしょ？」
「えっ、……あ、まあ」


今も携わらせてもらってはいるが、もっと専門的にやってみたいという気持ちが芽生えていた。

だがそれは心の中だけの話で、誰かに言ったわけではない。


「家にインテリアの本沢山あったし、めちゃくちゃ考えて家具入れてるんだろうなって思った」


収納スペースを出来るだけ取りたくて、採寸してぴったりハマる家具をあちこちのメーカーから探した。ワンルームマンションだからやれることに限りはあるが採光や色の取り合わせも拘った。

だが、あまり頑張りが見えない部屋にしようと思っていたから恥ずかしい。


「インテリアを本格的にやっていきたいって思ったら、今回の話は貴重な経験でしょ？ 人脈もあったに越したことないし」


卓上の勉強は一人で出来るが、実戦経験となるとそうはいかない。
プロに教えてもらえるならそれに越したことはないし、普段高級メーカーの家具なんて触る機会もないから本当だったら紹介してもらいたい。


だが

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