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「多分ちゃんと考えてくれたんだろうけど、お前流されやすいじゃん。俺が問い詰めたから勢いで言ったんじゃないかとか、さ」
「そんな……! 俺は北山のこと好きでっ」
「藤ヶ谷が俺のこと好きでいてくれるのはわかってる。でも好きと信用ってイコールじゃないだろ?」


俺は恋人だから全部理解してくれると安心していたし、甘えていた。他人だから共有できないことがあって当然で、その意識があるからこそ北山は不安だったんじゃないかと思う。

そもそもこんなことになったのも俺の優柔不断さが原因。
はっきり断れない性格なのは理解してくれているが、それは理解しているだけで信用されているわけではない。そのことに今初めて気が付いた。


なんと言っていいのかわからず黙っていると、北山はひとつ息を吐き出してから口を開く。


「それに信用できないのは俺に問題があるからで、藤ヶ谷が悪いわけじゃない」


言われている意味が分からなくて眉間に皺を寄せると、北山は自嘲的に笑った。


「自分に自信がないから本当に俺でいいのか、あとでお前が後悔するんじゃないかってどうしても考えちゃうんだよね」


俺が知っている北山は男らしくて優しくてしっかりしてる癖にマイペースで、そんな風に思ってるなんて考えたこともなかった。

本当に北山のことを見ていなかったんだと、自分自身にショックを受ける。


「びっくりしただろ?」


まるで悪戯が成功したように無理やり口角を上げた。


「そんな自分を見せないようにしてたから、藤ヶ谷が知らないのは当たり前なんだ。……だけど裕太は俺のそんな気持ちに気付いた」


突然出てきた玉森の名前にハッとすると、北山は愁いを帯びた顔で微笑んだ。


「裕太に一緒に住まないかって言われた」
「え?」
「裕太の親も認めてくれて、誰に隠すことなくいつでも愛情を伝えてくれる。俺が求める幸せのカタチを見せてくれた」


微笑む北山に反して、俺の心臓は気持ち悪くなるくらいドクドクと音を立てる。


「幸せにするって言ってくれたんだ。俺も裕太と一緒にいたら幸せだろうなって思った」


この先どんな言葉が続くのか想像し、決意を胸にしながら足元が崩れるような気がした。
 

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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん!最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします!(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん!私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん!完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます!私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか(笑)今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2022年7月1日 0時

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