君以外もう知らなくていい 1

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「男だったら大丈夫ですか？」
「男？」
「友達とご飯行ったり、家に泊まったりとか」
「あー、頻繁に泊まるとかだったらあれかもですけど、ご飯くらいは大丈夫かな。会社の付き合いだってあるし、友達がいないよりはいた方が両親の心証も良い気がしますし」
「そうですか」


ほっとしたような顔を見て、俺もほっとした。

好きなんて言ってくれることはほとんどないけど、いつも態度で示してくれる。


「もしかして、ご飯一人じゃ食べられない派ですか？」
「食べられなくはないけど、好きじゃないです」
「ふふ、寂しがり屋さんなんですね」


玉森の前で強がっているが、北山は一人で食事をするのを極端に嫌う。
さすがに毎日とはいかないが、週に2回は同僚や友人と外食しているはずだ。

寂しがり屋と言われたのが恥ずかしかったのか、耳を赤くして口をもごもごさせている。


「まだまだ食べていいですから」


玉森がまるで大勢でのご飯楽しいですね、みたいな雰囲気で言うから、いつもだったら煩いって怒る北山だが「はい」と恥ずかしそうに頷いた。


デザートまで食べ尽くし、お腹いっぱいになったところで玉森がゴールドカードで支払いを済ませる。

連絡先の交換をした二人は次に会う日程だけ決め、また詳細は後日ということで解散となった。



「思ったより話しやすそうでよかったわ」


そう言う北山の横顔を見ながら、二人で連絡を取って二人で出かけるようになるんだと思う。


「いつもはもっと人見知りなんだけど、さすがに今日は頑張ったんじゃない？」
「そうなの？」


きょとんとした目で、下から俺を見上げる。


「うん。たまも俺も人見知りだから」
「あ、それで仲良くなった感じ？」
「まあそうかな、好きな服とかも似てるし」
「そっか、職場に気が合う奴がいてよかったな」


人見知りな俺が店長としてやっていけてるのか心配していたから、話を聞いて安心したのだろう。


そういえば玉森の話もちゃんとしていなかったかもしれないと思い至り、恋人役を頼むにあたってもよくなかったと反省した。

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