Sugar 2

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「ただいま」


クリスマスも近くなり、藤ヶ谷さんはお菓子教室が忙しいようで預かってもらう日も少ない。

当然暖房を付けて家を出るが、何回言っても時々消してあるから気が抜けない。


「おかえりー」


玄関の暖かさに今日は大丈夫そうだと思っていると、砂糖くんが走って出迎えに来てくれた。


完全に砂糖を食べるのをやめたわけじゃないが、チャーハンを食べた日から土日の食事と夕飯は俺が作ったものを食べさせている。
昼食も夕飯の残りを置いておく時もあったし、砂糖とどっちを食べてもいいようにフルーツも常に買っておくようになった。


砂糖くんは元々よく寝ていたが、最近もっと寝るようになった。違うのは疲れにくくなったことと、昼寝が減ったこと。

前だったら少し動くとすぐ眠たくなったり砂糖を食べなきゃいけなかったが最近、休みの日は三食で済んでいるし活動時間も長くなった。


前はすぐ寝る癖に夜中にちょくちょく目が覚めていたようで、そのせいで寝起きも悪かったらしい(今も寝起きがいいとは言えないが)。

そう教えてくれた時、そんなことも知らなかったんだと思った。


一緒に寝てるのに途中で起きていることにも気付いていなかったんだと思ったら、素性を知らないことなんて大した問題じゃないような気がした。


「何してたの？」
「ごはんの本見てた」


リビングに行くと、机の上にレシピ本が広げられている。


「食べたいものあった？」
「んー……全部！」
「この食いしん坊め」


こしょこしょと脇腹をくすぐると、きゃーと叫んで逃げていく。


「今からご飯作るけど、ひとりでお風呂入れる？」
「……うん」


コートとマフラーをハンガーに掛けながら言うと、砂糖くんは寂しそうに頷く。

何とか一人で髪を洗えるようになってきたので、次は一人でお風呂に入る練習をしようねと昨日話していた。


「ちゃんと洗えてるか見るから、髪を洗い終わったら呼ぶんだよ？」


洗い残しがあるといけないから、そこはちゃんとチェックする。

本当は一緒に入ってあげたいが、お風呂くらい一人で入れるようにならないとと甘やかしそうになるのをぐっと耐えた。

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