Sugar 2

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「なんか元気なくない？」


千賀に言われてそろりと顔を上げる。


テンションが低いのは自分でも分かっていたが、どうしたって上がらない。

仕事とプライベートを混同しちゃいけないなんてもちろん分かっているけど、今の俺には出来そうもない。


「せっかく時間取ってもらってるのにごめん」


お願いしてるのは俺の方なのにと謝ると、千賀はううんと首を横に振る。


「調子いい時もあれば悪い時もあるからね」


天然で突拍子もないことを言う時もあるが、人生経験の差を見せつけられることが時々ある。


「……ありがとう」


カフェオレを飲むと、ほっと息を吐きだした。


「わたあめちゃんと何かあったの？」


そう言われて考える。

様子がおかしいのは間違いないが、何かあったのかと言われたら何もない。でも……。


「いつも考え事をしてるみたいに、ぼーっとしてるんだよね。そんなこと今までなかったから、なんか心配で」
「理由聞かないの？」
「聞きたいけど、聞いたらどっか行っちゃいそうで」


こんな曖昧な話、聞かされても返す言葉がないよなって思っていうと千賀はうーんと口元に手を当てた。


「たまがなんでそう思うか俺にはわかんないけど、もしそうだとしたらどこかに行く前に一緒にやりたい事をやったり、伝えたいことを言葉にしたらどうかな」
「いなくなる前にってこと？」
「そう。本当にいなくなるかはわからないけど、もしそうなったとしても後悔しないように俺だったら行動するかなって」


俺は、千賀の言葉に衝撃を受けた。

いなくなるかもという不安でいっぱいで、それしか考えられなかった。だが聞かなくても、遅かれ早かれ離れ離れになってしまうかもしれない。

そうなった時後悔しないなんて無理だろうけど、少しでも後悔を減らすことは出来るかもしれない。


それに砂糖くんにも楽しんで欲しい。知らないことをもっと教えてあげたい。


そう思ったら俄然やる気が出てきた。


「ありがとう。千ちゃんのおかげで、やる気出たかも」
「ほんとー？ だったら良かった」


千ちゃんはそう、にっこり笑った。

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