星月夜 3

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答えに困っていると、もういいの？ と聞かれたから頷いた。


「そろそろマネージャー迎えに来る時間だろ」


傷を治してから口を開くと、面倒臭そうにうんと答える。


「時間かかりそうなロケなんだよねー。まあ宮っちと一緒だから、適当に時間潰すけど」
「宮田と一緒ならよかったじゃん」


そう言うと、玉森は考えるような顔をした。


「……ミツはさ、俺と宮田が一緒のロケでも気にならない？」
「気になる？ 何を？」
「何してんのかなとか」
「え、いや、別に」


言わんとしてることが分からなくて首を捻ると、そっかと小さく言った。


何が言いたいのか分からないまま仕事に向かう玉森を見送り、少し休んでから迎えに来たマネージャーの車に乗る。


「あ、北山さん。今日のラジオ、横尾さんから藤ヶ谷さんに変わったのでよろしくお願いします」
「え、藤ヶ谷？」


何年もやらせてもらっているラジオ番組、しかも横尾と一緒だからと安心していた。


「横尾さん、病院に行ったみたいなんですけど熱が下がらないらしくて。大事を取って今日は休んでもらったんです」
「あ、そうなんだ」


体の状態を考えると藤ヶ谷でよかったとも思う。

だが玉森が知ったら何を言うか分からないという思いもあり、複雑な心境だ。


ラジオ局に着くともう藤ヶ谷がいて、俺以上に気まずそうな雰囲気に少し笑ってしまう。


「わたから今日変わって欲しいって連絡あって」
「マネージャーから聞いた。体調悪いんだって？」
「辛そうだったからあんまり詳しくは聞いてないけど、熱があるみたいで」
「大したことないといいけど」
「うん」


横尾が心配なのか俺と二人なのが気まずいのか分からないが、妙にそわそわしている藤ヶ谷が面白くて少し肩の力が抜けた。


横尾に気にせず休んでとメッセージを送ってから、ブースに入る。


藤ヶ谷とのラジオはスムーズだった。


どう言えばどう返すかなんてお互い知り尽くしているから、話すテンポが速いとよく言われる。


それが当たり前だから特に気にしていなかったが、今はこのテンポが心地良い。

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