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別室に行こうって言うのも何だか照れくさい空気感に笑いそうになった時、後ろで聞き覚えのある声がした。
「たま……っ、ちょっと待ってって……!」
「うるさい、俺に指図すんな」
撮影が終わったのか、何か揉めているような雰囲気に藤ヶ谷と二人顔を見合わせる。
廊下で大声を出すなんて通常では考えられない事態に、楽屋に戻ろうとすると玉森の姿が見えた。
「たま、どう」
「ミツ」
近付いてきたと思ったら、腕を掴まれ椅子から引き上げられる。
「え、なに?」
「なんでガヤといるの? 危ないじゃん」
「ちょっ」
勢いにたじろぐと、再び強い力で腕を引かれた。
「いた……っ」
「やめろ」
藤ヶ谷に腕を掴まれ、玉森が鋭い目で睨み付けた。
「ミツにちょっかい出さないでよ」
「痛がってるだろ」
「うるさい!」
そう大声を出すと俺の腕を掴んだまま藤ヶ谷の手を振りほどこうとするから、引っ張られてよろけてしまった。
「北山っ」
咄嗟に支えてくれた藤ヶ谷に掴みかかろうとした玉森の背中に、走ってきた宮田が体当たりして抱きつく。
「たま、やめて!」
「邪魔すんなっ」
「お願いだから」
何がなんだか分からなくて茫然と見つめていると、少し落ち着いたか玉森が上げていた腕をゆっくり下ろした。
「……たま……」
どう言っていいのか分からず名前を呼ぶ俺に、玉森は視線を合わせ戸惑っているような自嘲しているような見たことがない笑みを浮かべた。
「びっくりさせてごめんね。なんか俺、おかしかった」
「どうした……?」
今なら話が通じそうだと思い問いかけたが、玉森は頭を緩く横に振るだけで何も言わない。
「二人はそろそろ撮影に行った方がいいかも」
宮田が玉森の腕を持ったまま、背中越しに作った笑顔を見せた。
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くらげ(プロフ) - aaaさん» aaa様ー!コメントありがとうございます(〃ω〃)甘い2人はまだ先かもしれませんが次の更新からまた大きく物語が変化していきますので少しだけお待ち頂けたら。辛い展開が多く書いている私も鬱々としてくる時がありますがaaa様に本当に助けられています(;ω;) (2020年5月1日 23時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - 前回更新された分の玉が不気味でゾワゾワでまさに何かが歪んでいくような崩れていくような気持ち悪さを感じたのですが、この藤ヶ谷くんの最後の雰囲気はいよいよ確信に触れていくんでしょうか?甘いふたりも見たいのに玉が脅威過ぎてハラハラします展開気になります! (2020年5月1日 0時) (レス) id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - みちゅどんさん» みちゅどん様、初めまして!1番気になる小説なんて嬉しすぎます!(〃ω〃)この先の出来事で関係性がまた変わって来るのでヒヤヒヤ展開が多くなるかもしれませんが今後も楽しんで頂けるよう頑張ります!コメント本当にありがとうございました!沢山力を貰いました(;_;) (2020年4月29日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
みちゅどん(プロフ) - 初めまして!今1番気になる小説です♪FKさんの間で何があったのか、Tさんにも幸せになって欲しいしでもFKには変えられない何かがあると思っているので2人で幸せになって欲しいとも思います!これからも楽しみにしています!頑張ってください♪♪ (2020年4月29日 11時) (レス) id: dc77794694 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - aaaさん» aaa様、初めまして!不安定な雰囲気とゾワゾワ感を今回は出したかったのでそう言って頂けて本当に嬉しいです!しかもいつも更新を楽しみにしてくださっているなんて(;_;)ここから色んな事が起こってきますが引き続き読んで頂けたら嬉しいです。ありがとうございます! (2020年4月26日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2020年3月7日 0時