星月夜 3

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部屋に入った瞬間から感じる匂いに、思わず眉を寄せた。
寝ていたと言っていた北山は本当に怠そうで顔色もよくない。

そんなに体調悪いんだったら俺を呼べよなんて身勝手な怒りが湧いてきて更に捲し立てたら、笑いながらありがとうと言われた。

体の熱さとは違うところがじんわり熱を持ち、何だか擽ったい気持ちなる。


泊まるつもりで来たわけではなかったが泊まらないつもりもないので、当然のように借りた風呂から上がると北山がソファで横になっていた。

寝ているのかと寄ってみると顔面蒼白で、息をしていないんじゃないかと思うくらい静かだった。


怖くなって名前を呼ぶとびくりと体を震わせ、息を荒く吐く。

過呼吸のような症状に大丈夫だからと伝えると徐々に呼吸は落ち着いていったが、普段赤い唇はまっ白になっていた。


心配で思わず触れると、北山が俺を見た。

甘い匂いとぼんやりとした北山の表情に胸がぎゅっと苦しく熱くなり、気が付いたらキスをしていた。




柔らかくて冷たい唇は甘かった。



瞼を開けると、丸い目で俺を見つめる北山がいた。



その顔にすら欲 情して再び白い唇に触れると、ぴくりと体を震わせ恥ずかしそうに視線を逸らす。

そんな態度、気があると思われても仕方ない。

誰にでもそんな態度を取るのかと苛々して、強引に顔を向けさせ唇に噛み付いた。

驚いて開いた口に舌を差し込み絡めると傷痕から熱が下半身に広がり、我慢できずに舌を吸った。


唾液も漏れる声も堪らなく甘くて、もっともっと欲しくなる。


更に舌を絡めようとすると、北山の頭が後ろに傾いた。

そのまま後ろに倒れそうになる体を慌てて抱きとめ、ベッドに運ぶ。

ジュニアの頃のように細くなったと思っていたが、抱き上げた体は想像よりずっと軽かった。


首に縋りついた腕も凭れてくる体も細く、シーツの上に横たえた顔は未だ白い。


悪いと言う北山にタオルケットを掛けると、何処か嬉しそうに目を閉じた。

すぐに聞こえてきた寝息に、相当無理をしていたんだろうと思う。

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