星月夜 3

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少し気持ち悪いかもしれない。


蛍光灯の明かりが眩しくてぎゅっと目を閉じると、頭がぐわんぐわん回っている気がした。

血の気が引く感覚に息が詰まり、意識が黒く塗り潰される。


「北山！」


突然大きな声が聞こえて目を開ける。

声を出そうとしたが、気持ち悪さに荒い呼吸しか出てこない。


「喋らなくて大丈夫だから」


状況が分からなくて声のした方に視線を向けると、藤ヶ谷が説明してくれた。


「風呂から上がって声掛けても反応なくて、また寝てるのかと思ったけど顔色悪いし全然動かないから」


どうやらあのまま気を失っていたらしい。

自分でもそこまで血が足りていないとは思っていなかったから、想像以上の体調に変化に戸惑い黙ると「北山？」と心配そうに呼ばれる。


「……悪い。たぶん……貧血だと思う」
「貧血？」
「……うん。だから、しばらく静かにしてたら……治ると、思う」


目を閉じ、呼吸を落ち着けるように大きく吸って吐いてを繰り返す。


「……唇もまっしろ」


そう言って、藤ヶ谷の指が俺の唇をなぞった。


触れた温かさに、うっすら目を開ける。

声を出すのもだるくて、さっきと同じように視線を送った。


藤ヶ谷は何故か苦しそうに俺を見つめている。


「……ふじ……」


最後まで言う前に、温かいもので言葉を封じられる。

すぐ近くに藤ヶ谷の顔があった。


近すぎて焦点が合わないから、もしかして藤ヶ谷じゃないのかもしれない。


だって藤ヶ谷がこんなことするなんて。



そのまま動けず見つめ続けていると、唇が離れた。


藤ヶ谷の瞼が上がり俺を見る。俺は随分間抜けな顔をしているだろう。


「……まだ白いな」


再び藤ヶ谷の指が俺の唇に触れる。


「……っ」


小さく震えてしまい恥ずかしくて視線を逸らすと、逸らした方の頬に手を添えられ顔を正面に向けられた。


「誰の前でもそんな態度すんの？」
「え？」


意味が分からなくて思わず出た声が、唇に飲み込まれる。


「……ン、」


あっという間に入り込んできた舌に絡め取られ、熱く吸われる。


「ぅ、ン…………はっ……ぁ……」


口内を弄られ息が上がる。


頭がくらくらして力が入らなくなり、ぐらりと頭が後ろに傾ぐ。

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