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玉森の家にもすっかり慣れ、先に入ってと言われるまま風呂に入る。
今日は色々なことがあり過ぎて疲れた。
(……あのスタッフ、辞めさせられたんだろうな)
きっと大騒ぎになっただろうし、コンサートから帰れば事務所にも呼び出されるだろう。
それにコンサートとなれば当然、藤ヶ谷とも会う。
礼だけは言いたいが、それを言うと色々聞かれてしまうんじゃないかと二の足を踏む。
メンバーにも気を遣われるだろうと思うと、益々気が重い。
大きく息を吐き出し、甘い匂いのする浴槽から出た。
入れ替わりで入った玉森を待つ間に髪を乾かそうと思ったが、ついソファに寝転んでしまったせいで気が付いた時には不機嫌な顔の玉森がいた。
「……たま?」
「当たり前でしょ、俺んちなんだから」
よく分からなくて見つめていると、これ見よがしにため息をつかれる。
「寝ぼけてないで、さっさと髪乾かして」
「……ああ、そっか」
一瞬どこにいるのか分からなくなっていた。
頭を振って起き上がると、玉森が真っすぐ見つめてくる。
「なに?」
「ここ赤くなってる」
そう言って、鎖骨の端の辺りを指さされる。
「これは……っ」
風呂に入る時に湿布を剥いだから、赤い痕がくっきり露になっていた。
慌てて襟ぐりを引っ張ると、今度は手首を緩く掴まれ「ここも赤くなってる」と指摘される。
どう言っていいのか分からなくて黙っていると、玉森は赤くなっている手首を優しく撫でた。
「怖かったでしょ?」
辛そうで、でもひどく優しい声にぐっと目頭が熱くなったが、こんなことで泣きたくなくて頭を下げた。
「他に触られた?」
そう聞かれて今日のことを思い出し、ふるりと体が震える。
「……思い出させてごめん」
苦しそうな声と共に、ぎゅっと抱きしめられる。
「たま?」
痛いくらいの抱擁に戸惑いながら声を掛けるが、玉森は顔を上げない。
「たまのせいじゃないから」
自分を責めているのかもしれないと背中を撫でると、ゆっくり腕の力が緩んだ。
「……ミツ」
玉森が見たことのない目で俺を見つめている。
よく分からず見つめ返すと、綺麗な顔が近づいてきた。
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くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさんー!明けましておめでとうございます(*≧∀≦*)Fさんsideどきどきして貰えたようで嬉しいです(〃ω〃)そういった内容…何れ出てくるかと思いますので気長にお待ち頂けたら嬉しいです(笑)今年も宜しくお願いします!コメント本当にありがとうございました! (2020年1月6日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
mimota(プロフ) - くらげさん!あけましておめでとうございます☆年始からたくさん更新嬉しいです(*≧∀≦*)この間のFさんsideすごくどきどきしました\(//∇//)\またこの後も、くらげさんが書かれるそういった内容のFKがみれることをひっそりと(笑)期待してます(^^) 今年も応援してます! (2020年1月6日 11時) (レス) id: e3aff967f8 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - nanacoさん» nanacoさんー!今作も読んで頂けているだけで嬉しいのに更に嬉しすぎるお言葉…!本当にありがとうございます!!。゚(゚´ω`゚)゚。想像以上に吸血鬼設定に苦戦しておりますがワクワクして貰えるよう頑張ります!コメント本当にありがとうございました(*´ω`*) (2020年1月6日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - くらげさん、前作に続きこちらも愛読させて頂いております(//∇//) 吸血鬼設定、とってもワクワクします♪ 北玉も藤北も、くらげさんの書く世界観の中で読めるのが嬉しくて仕方ないです(><) (2020年1月6日 0時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ririkaさん» ririka様ー!読んで下さっただけでなく嬉しいお言葉まで本当にありがとうございます!!(〃ω〃)ここからTさんFさん、どんどん巻き込まれていきそれによってまた色んな出来事が起こる予定ですので楽しんで貰えるよう頑張ります!応援ありがとうございます(*≧∀≦*) (2019年12月19日 23時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2019年11月19日 0時