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甘い入浴剤の香りに包まれながら風呂を出て、用意してくれたTシャツに袖を通す。
かなり襟ぐりが広いタイプで、昔はこういうのよく着ていたイメージがあったが今も好きなのだろうか? と少し疑問に思ったが窮屈でなければ問題ないのでそのままリビングに戻る。
「風呂ありがとう」
いい匂いがしてキッチンに足を向けると、藤ヶ谷がフライパンと格闘していた。
「カルボナーラ?」
フライパンを覗き込むと、驚いたのか藤ヶ谷の体が跳ねた。
「髪乾かしてきて!」と怒られ、すごすごと洗面台に移動する。
優しいのかと思ったら急に突き放されるから、気持ちの処理が難しい。
それにしてもさっきの様子から料理に慣れているとは思えず、益々なんで作るって言い出したのだろうと疑問が湧く。
言われた通り髪を乾かしリビングに戻ると、テーブルに盛り付けられたパスタが置いてあった。
「うまそー!」
「北山、ビール? ワインもあるけど」
「んー、藤ヶ谷は?」
「俺はいいや」
「そっか、じゃあビールもらおっかな」
あまり酒に強くないイメージはあったが、普段家で飲む習慣がないのかもしれない。
出されたのはちょっと値の張るビール。
俺がいつも飲んでいるのはもっと安い銘柄だ。
ちょっとしたサラダに、ステーキとパンがテーブルに並ぶ。
「結構作ったんだな。藤ヶ谷、腹減ってんの?」
「俺は……べつに……」
「ん?」
「なんでもいいから冷める前に食べて」
何かもごもご言っていたがよく聞こえず、聞き返すと何故か少し怒られた。
「い、いただきます」
パスタをフォークに巻きつけるところから口に入れるまで食い入るように見られ、正直食べた気がしない。
「……美味いよ?」
「ほんと?」
「うん」
「じゃあ、もっと食べて」
「お、おう」
サラダで一旦口をリセットしてから、ステーキにナイフを入れる。
若干焼き過ぎな感はあったが、塩とブラックペッパーのみの味付けはシンプルでこれはこれで嫌いじゃない。
「うん、肉も美味いよ」
「……大倉くん……り……」
「ん? 大倉がなに?」
藤ヶ谷が何か言ったがまた声が小さすぎてよく聞こえず、聞き返すと黙ってしまった。
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ちび(プロフ) - ありがとうございます、実はまた続編読みたいな、思ってました、お知らせくるの待ってますね⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» ですし何かキリのいい数字になった時に続編を書くかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。この度はこんな長い話を読んで頂き、メッセージを頂き本当にありがとうございました。また読みにきてくださったら嬉しいです(*´-`) (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - なんかラブFKめっちゃ良いですよね、楽屋の話探してて見つけました、楽屋てちょっと覗いで見たいですよね💓で、きっとめっちゃうるさそうだし笑 FKを冷やかす弟組とか大好きです⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ引き込まれました、倉北ベタベタしてますもんね、ヤキモチ焼きFは私もよく妄想してます、倉優しいし関西弁で捲し立てる感じめっちゃ笑いましたありがとうです、勇気ないF可愛すぎましたわ、Kも早く言ってよ、てね (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» 途中どうやって持っていこうかと悩みましたが最後の最後で動いてくれて良かったです。この話は色んな人が関わってくる話にしたので大変な時もありましたが沢山の方に読んで頂ける作品になったので嬉しかったです。ラブラブFKは書いてて笑ってしまいましたが楽しかった (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2019年6月27日 23時