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「大倉、悪い。今日このあと、まだ仕事あった」
「仕事やったらしょうがないやろ。また連絡するわ」
「うん、そうして」
北山が大倉くんに向ける笑顔は、他の誰に向ける笑顔とも違う。
北山が俺を好きでいてくれているのは分かっているが、大倉くんが北山のことを好きなのではないかと思っているから余計に嫉妬してしまう。
「ミツー! 次、俺と撮影だって」
「ほーい。じゃあ、大倉また連絡して」
「おう」
二階堂に呼ばれバタバタと行ってしまった後姿を眺めてから、大倉くんに視線を向ける。
「大倉くんの服、俺んちにあるんで今度俺が持って行きます」
「……へえ。けど借りたのは北山やし、北山に持って来させて?」
一筋縄ではいかないと思っていたが、大倉くんは薄く笑いながらそう言った。
先輩に言われてしまえば、北山に持って行かさざるを得ない。
「…………わかりました」
そう言うと、大倉くんはぷはっと吹き出した。
「藤ヶ谷くんて、めちゃくちゃ顔に出やすいんやな」
「え?」
「別に取って食ったりせーへんから、そんな敵意むき出しにせんといて?」
全部顔に出ていたらしい。
恥ずかしくて熱くなる顔のまま「いえ、そんなつもりは全然」なんて口籠る。
「そうなん? じゃあ、これからも変わらず飯とか誘ってもええ?」
にっこり微笑まれ、騙された……! と思ったが後の祭り。
「……あ、はい」
「藤ヶ谷くんが心の広い男でよかったわー。ほな俺もそろそろ行くな」
そう言って大倉くんは俺の肩をぽんと叩き背を向けたが「あ」と言うと振り向き耳元に顔を寄せた。
「俺まだ諦めてないから、泣かせたりしたら取ってまうよ」
囁かれた言葉に驚いて顔を向けるとアイドル雑誌のようにニッコリ微笑まれ、軽く手を振って今度こそ本当に楽屋を出て行った。
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ちび(プロフ) - ありがとうございます、実はまた続編読みたいな、思ってました、お知らせくるの待ってますね⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» ですし何かキリのいい数字になった時に続編を書くかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。この度はこんな長い話を読んで頂き、メッセージを頂き本当にありがとうございました。また読みにきてくださったら嬉しいです(*´-`) (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - なんかラブFKめっちゃ良いですよね、楽屋の話探してて見つけました、楽屋てちょっと覗いで見たいですよね💓で、きっとめっちゃうるさそうだし笑 FKを冷やかす弟組とか大好きです⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ引き込まれました、倉北ベタベタしてますもんね、ヤキモチ焼きFは私もよく妄想してます、倉優しいし関西弁で捲し立てる感じめっちゃ笑いましたありがとうです、勇気ないF可愛すぎましたわ、Kも早く言ってよ、てね (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» 途中どうやって持っていこうかと悩みましたが最後の最後で動いてくれて良かったです。この話は色んな人が関わってくる話にしたので大変な時もありましたが沢山の方に読んで頂ける作品になったので嬉しかったです。ラブラブFKは書いてて笑ってしまいましたが楽しかった (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2019年6月27日 23時