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リビングまで来るとテーブルの上の料理に気が付いたようで、誰か来る予定? と聞いてくるからイラッとした。
「……北山だけど」
「ん?」
「だから北山が来る予定だったんだって!」
俺の大声にきょとんとした目が内容を理解したのか、そっかって何なのかわからないことを呟いた。
「北山呼んでるのに他の奴とか来るわけないじゃん。そんなこともわかんないの?」
「あ、いや」
「それになんなの? その服、絶対北山のじゃないじゃん。他の男の服来てさ、シャンプーの匂いとかさせて……目も真っ赤だし……」
北山は絶対に泣いたってわかるくらい目を真っ赤にさせていた。
そんなの何かあったって思うのが普通だ。
「……藤ヶ谷もじゃん」
「俺はいいのっ!」
「なんでだよ」
もう無理だと思っていたのに急に来るし、来たかと思うと違う男の服着てるし、感情がぐちゃぐちゃで自分をコントロール出来ない。
(こんなことが言いたいんじゃないのに)
「藤ヶ谷、誕生日だったじゃん。誕生日に悲しいことがあったら余計、辛いだろ?」
「……っ、そんなの……北山が来てくんないからじゃん……っ」
まるで他人事みたいに言う北山に益々、頭に血が上って目頭が熱くなる。
「…………藤ヶ谷はさ、なんでそんなに俺に会いたかった……?」
問われて、さっきまで熱くなっていた頭がサッと冷える。
「なんで25日に俺に会いたいって言ったの?」
北山は目を逸らさずに俺を見た。
赤い目をしてる癖に強い眼差しで見つめてくる。
「……なんでって……」
「なあ……なんで?」
今、言わなきゃいけない。
そう分かってるのに口から言葉が出て来ない。
「…………結局、何にも言わないんだな」
どれくらいそうしていただろう。
北山が視線を外して、小さく呟いた。
「俺、帰るわ」
「……え?」
「何にも言わないならいる意味ないだろ」
北山が冷めた目線で淡々と言う。
「深夜に悪かったな」
そう言って帰ろうとするから、慌てて北山の腕を掴んだ。
「待って……!」
今、言わなきゃ絶対に駄目だ。
今を逃したら、きっと北山は手の届かないところにいってしまう。
だからありったけの勇気を出して、震える唇を動かした。
「俺……っ」
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ちび(プロフ) - ありがとうございます、実はまた続編読みたいな、思ってました、お知らせくるの待ってますね⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» ですし何かキリのいい数字になった時に続編を書くかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。この度はこんな長い話を読んで頂き、メッセージを頂き本当にありがとうございました。また読みにきてくださったら嬉しいです(*´-`) (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - なんかラブFKめっちゃ良いですよね、楽屋の話探してて見つけました、楽屋てちょっと覗いで見たいですよね💓で、きっとめっちゃうるさそうだし笑 FKを冷やかす弟組とか大好きです⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ引き込まれました、倉北ベタベタしてますもんね、ヤキモチ焼きFは私もよく妄想してます、倉優しいし関西弁で捲し立てる感じめっちゃ笑いましたありがとうです、勇気ないF可愛すぎましたわ、Kも早く言ってよ、てね (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» 途中どうやって持っていこうかと悩みましたが最後の最後で動いてくれて良かったです。この話は色んな人が関わってくる話にしたので大変な時もありましたが沢山の方に読んで頂ける作品になったので嬉しかったです。ラブラブFKは書いてて笑ってしまいましたが楽しかった (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2019年6月27日 23時