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「ミツ」


この会場を使う時、ミツがよく人気がない自動販売機にいることは知っていた。

だから多分ここにいると思って来てみたら、案の定ベンチにポツンと座っていた。


「……たま」


隣りに座ると目を擦るから、その手を掴んで止めさせる。


「そんな擦るとはれるから」


ミツは泣いているところを見られたくないのか顔を上げない。

だからその体を抱き寄せ、頭の上に顎を乗せた。


「これなら泣いてるとこ見えないからいいでしょ?」


そうからかうように言ってやれば「ムカつく」と拗ねたような声が聞こえ、わざと顔を覗きこむように体を離した。


「……なんで見んの」
「えー? 泣いてるミツって貴重だし」


前髪の間から見てくる目が赤くなっていて、かわいそうだと思った。
少しでも笑って欲しくて髪をぐしゃぐしゃと撫でると顔を赤くするから、可愛くて俺の方が笑ってしまった。

からかわれていると思ったのか怒って逃げ出そうとするミツを引き寄せ、腕の中に包んだ。


「誰にも言わない。二人だけの秘密にしよ」


きっとミツは弱ってる姿も泣いてる顔も知られたくないだろうから、安心してもらえるように耳元でそう言った。

するとミツから力が抜け、俺の胸に体を凭れかける。


腕の中にすっぱり入る体。

こんなに小さくて可愛いもの、俺だったら泣かせないよう優しくするのに。


漏れ出した小さな泣き声に頭を撫でながら、感じる視線に気づかない振りで髪にそっと唇を落とした。

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ちび(プロフ) - ありがとうございます、実はまた続編読みたいな、思ってました、お知らせくるの待ってますね⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» ですし何かキリのいい数字になった時に続編を書くかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。この度はこんな長い話を読んで頂き、メッセージを頂き本当にありがとうございました。また読みにきてくださったら嬉しいです(*´-`) (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - なんかラブFKめっちゃ良いですよね、楽屋の話探してて見つけました、楽屋てちょっと覗いで見たいですよね💓で、きっとめっちゃうるさそうだし笑 FKを冷やかす弟組とか大好きです⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ引き込まれました、倉北ベタベタしてますもんね、ヤキモチ焼きFは私もよく妄想してます、倉優しいし関西弁で捲し立てる感じめっちゃ笑いましたありがとうです、勇気ないF可愛すぎましたわ、Kも早く言ってよ、てね (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» 途中どうやって持っていこうかと悩みましたが最後の最後で動いてくれて良かったです。この話は色んな人が関わってくる話にしたので大変な時もありましたが沢山の方に読んで頂ける作品になったので嬉しかったです。ラブラブFKは書いてて笑ってしまいましたが楽しかった (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2019年6月27日 23時

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