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しばらく頭を撫でていると腕の中が重くなり、見ると寝息を立てていた。
自分を好きだと言っている男の腕の中で寝るとか無防備すぎるんじゃないかと思うが、飲んでいる量からすると当然と言えば当然だ。
「重っ」
見かけの割に重量のある体を抱え寝室まで運ぶ。
半ば投げるようにベッドに横たえたが、起きる様子は全くない。
「はー、どんだけ手がかかんねん」
別にリビングで寝かしてても良いのだろうが、起きた時体が痛いんじゃないかと思ったらそのままにしておけなかった。
結局、俺は北山に甘い。
寝顔を見つめる。
長い睫が影を作る。
白いシーツに茶色の髪を乱し、首も鎖骨も真っ赤に染めている。
赤い頬は熱いはずなのに、温度が分からなかった。
「……宏光……」
唇から寝息が漏れるだけで返事はない。
柔らかそうな唇から目が離せなかった。
こんなことするつもりはなかった。だが触れてしまったら止められなかった。
キスは宏光が俺を好きになってからなんてカッコ付けたが、好きな奴にこんな無防備に寝顔を見せられたら仕方ないなんて心の中で言い訳をする。
「…………宏光……」
緊張で名前を呼ぶ声が震えた。
吐息が触れるくらい唇を寄せた時、手が濡れる感触がした。
見ると北山が涙を流している。
「宏光……?」
呼んでも返事がないから寝ているのは間違いなさそうだが、もし悪い夢を見ているなら起こした方がいいかもしれないと思っていると聞こえた声。
「……ふじ……や……」
小さな小さな声だったが、はっきり聞こえた。
苦しそうな声。
そんなに苦しいなら手放してしまえばいいのに、北山の心はいつでも藤ヶ谷を向いている。
濡れた頬を親指で拭う。
そしてその小さな体を、そっと背中から抱き締めた。
首元に鼻を寄せ匂いを嗅ぐと、何故か鼻の奥がツンとした。
「誰にも渡したくないなぁ」
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ちび(プロフ) - ありがとうございます、実はまた続編読みたいな、思ってました、お知らせくるの待ってますね⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» ですし何かキリのいい数字になった時に続編を書くかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。この度はこんな長い話を読んで頂き、メッセージを頂き本当にありがとうございました。また読みにきてくださったら嬉しいです(*´-`) (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - なんかラブFKめっちゃ良いですよね、楽屋の話探してて見つけました、楽屋てちょっと覗いで見たいですよね💓で、きっとめっちゃうるさそうだし笑 FKを冷やかす弟組とか大好きです⚪︎ (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ引き込まれました、倉北ベタベタしてますもんね、ヤキモチ焼きFは私もよく妄想してます、倉優しいし関西弁で捲し立てる感じめっちゃ笑いましたありがとうです、勇気ないF可愛すぎましたわ、Kも早く言ってよ、てね (2023年3月21日 21時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» 途中どうやって持っていこうかと悩みましたが最後の最後で動いてくれて良かったです。この話は色んな人が関わってくる話にしたので大変な時もありましたが沢山の方に読んで頂ける作品になったので嬉しかったです。ラブラブFKは書いてて笑ってしまいましたが楽しかった (2023年3月21日 21時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2019年6月27日 23時