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鞄もなにも持っていない北山は携帯をパンツのポケットに突っ込みむと「ほら藤ヶ谷、寝るぞ」と帽子を取った。
「え、ちょっと待って。ていうかなにしに来たの?」
「は? そんなの藤ヶ谷、寝かす為に決まってんじゃん」
寝室こっちだな、て言う北山にこれはマズイ展開なんじゃないかと心臓がドキドキした。
だって北山は俺のことを好きだと言った。
「え、なにする気? 変なことしねーだろうな」
「はあ? なにもしねーから、つべこべ言わずに寝ろよ」
よく分からない気迫に押され寝室に向かう間、北山は後ろをついてくる。
そのままベッドに座ると顎をしゃくられた。
謎の上から目線を不満に思いつつ大人しくベッドに横になると、北山がベッドの端に座り肩まで布団を掛けてくれる。そして、ぽんぽんと布団の上から肩の下あたりを優しく叩く。
「なに?」
「こうやったら寝れねぇ?」
こんなことで眠れないだろう、俺の不眠舐めんなと北山を睨むと「あ、子守唄もいる?」と笑った。
「いらねーから」
「まあ、そう言わずに」
聞きなれたメロディーが聴こえてくる。
甘く掠れた心地よい声。小さく聴こえてくる声は耳に馴染んでいるからか、すっと心に入ってくる。
一定のリズムで刻まれる温かさと心地よい声に、あっという間に瞼が重くなってくる。
「藤ヶ谷、おやすみ」
眠る前に見た北山は、とても優しい顔をしていた。
次の日起きたらびっくりするくらいすっきりしていた。舞台が始まってから、こんなにぐっすり眠れたのは初めてかもしれない。
「北山?」
そう言えばと思って北山の姿を探すがどこにもなく、テーブルの上に達筆な字で勝手に鍵使って悪いと書かれたメモが残されていた。
なにかされるんじゃと勘違いした自分が恥ずかしいし申し訳ないと思いながら、お礼のメッセージを入れた。
眠れたみたいでよかったわ、という実に北山らしいシンプルな返信でまたモテるんだろうなと思った。
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くらげ(プロフ) - makoanjyuさん» makoanjyuさん、いつもありがとうございます!Fさん言葉にはしない癖に無意識に行動しちゃうからいつも大変な事に(^_^;)Kさんに否定されTさんに嫉妬して心の嵐に翻弄されるFさんとT、Y、Oさん其々の想いがどう交錯していくのか移行後も見届けてもらえたら嬉しいです! (2019年6月26日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
makoanjyu(プロフ) - いきなりKさんにキスしちゃったFさん。相手に否定されて初めて味わう嫉妬と独占欲!大好物デス(//∇//)TさんのKさんに対する甘やかす様な抱擁を見てしまったFさん。何で見に行っちゃうかなぁ。そしてTさん良い仕事しますね♪もっと暴れてください♪(´ε` ) (2019年6月25日 23時) (レス) id: 7bd3afd279 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - さゆりさん» さゆりさん、初めまして!仕事後のご褒美にしていますなんて言って頂き私の方がご褒美を貰った気持ちです。゚(゚´ω`゚)゚。これからもドキドキしてもらえるよう頑張りますので移行後もお付き合い願えれば嬉しいです(*´ω`*)コメント本当にありがとうございました! (2019年6月25日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
さゆり(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。くらげさんのこのお話が凄く好きで、毎回更新されていると勝手に仕事後のご褒美にしています。笑 Fさんやっと気付いて毎回切なくもドキドキ読ませていただいてます。くらげさんの描くお2人がとても繊細で大好きです^_^ (2019年6月25日 15時) (レス) id: 6b1f7122fc (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - makoanjyuさん» makoanjyuさん、こちらこそいつもご丁寧にありがとうございます!香水を買ってから長かったですがやっとここまで来たかと…!少しずつ変化していく2人を細かく書きたかったのでそう言って頂けて本当に嬉しいです(;ω;)次の更新でガッと動くので楽しみにして貰えたら! (2019年6月22日 2時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2019年5月17日 0時