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「ふじが……」
触れた唇の熱さが俺に移り、一気に体温が上昇したのがわかった。
(……気持ちいい)
もっと触れたいと思った。もっともっと。
逃げる頭の後ろに手をやって引き寄せ、何度も唇を押し当てる。
「ん……っ」
もっと深く触れたくて唇に吸い付くと、北山から小さく声が漏れた。
その瞬間、頭に血が上りその体を抱き寄せようとすると強い力で押し返される。
「ふじがや……っ、やめろ……!」
はっと我に返り北山を見ると、戸惑いに視線が揺れていた。
厚く赤い唇が濡れているのが色っぽくて、また触れたくなる。
「急に、なに……?」
そう問われてすぐに返すことが出来なかった。
感情のままに触れてしまったが、想いを打ち明ける勇気もなければ変化を受け入れる覚悟も出来ていなかった。
黙ったままでいるとそれまで戸惑いに揺れていた北山の瞳が、強く鋭く俺を突き刺した。
「俺がお前のこと好きだと思って馬鹿にしてんの……?」
「そんなこと……っ」
怒りに満ちた低い声に慌てて口を開くが、それを遮るように強い口調が鼓膜を震わせた。
「お前なんて、もう好きじゃない」
吐き捨てるように言われた言葉。
北山は俺に視線も向けずに落ちた煙草を拾うと吸い殻に押し付け、喫煙所を出て行く。
血の引く感覚に蹲りそうになるのを何とか耐え、北山の後を追った。
今、追わないと北山との距離はもう取り返しがつかないほど広がってしまう。
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くらげ(プロフ) - makoanjyuさん» makoanjyuさん、いつもありがとうございます!Fさん言葉にはしない癖に無意識に行動しちゃうからいつも大変な事に(^_^;)Kさんに否定されTさんに嫉妬して心の嵐に翻弄されるFさんとT、Y、Oさん其々の想いがどう交錯していくのか移行後も見届けてもらえたら嬉しいです! (2019年6月26日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
makoanjyu(プロフ) - いきなりKさんにキスしちゃったFさん。相手に否定されて初めて味わう嫉妬と独占欲!大好物デス(//∇//)TさんのKさんに対する甘やかす様な抱擁を見てしまったFさん。何で見に行っちゃうかなぁ。そしてTさん良い仕事しますね♪もっと暴れてください♪(´ε` ) (2019年6月25日 23時) (レス) id: 7bd3afd279 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - さゆりさん» さゆりさん、初めまして!仕事後のご褒美にしていますなんて言って頂き私の方がご褒美を貰った気持ちです。゚(゚´ω`゚)゚。これからもドキドキしてもらえるよう頑張りますので移行後もお付き合い願えれば嬉しいです(*´ω`*)コメント本当にありがとうございました! (2019年6月25日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
さゆり(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。くらげさんのこのお話が凄く好きで、毎回更新されていると勝手に仕事後のご褒美にしています。笑 Fさんやっと気付いて毎回切なくもドキドキ読ませていただいてます。くらげさんの描くお2人がとても繊細で大好きです^_^ (2019年6月25日 15時) (レス) id: 6b1f7122fc (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - makoanjyuさん» makoanjyuさん、こちらこそいつもご丁寧にありがとうございます!香水を買ってから長かったですがやっとここまで来たかと…!少しずつ変化していく2人を細かく書きたかったのでそう言って頂けて本当に嬉しいです(;ω;)次の更新でガッと動くので楽しみにして貰えたら! (2019年6月22日 2時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2019年5月17日 0時