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そうこうしていると廊下が騒がしくなり、メンバーが帰って来たことが分かった。

時計を見ると24時を少し過ぎたところ。


最年長なのに早く抜けてしまった罪悪感なのか藤ヶ谷がそこにいると思うからか、どこか居心地が悪く感じた。


「そろそろ寝よっか」


玉森が急に言い出す。


「え、もういいの?」
「うん、今日はもういいかな」


玉森は俺の気分を敏感に察知する。

しかも気を遣わせないような言い回しをしてくるから、本当に大人になったと思う。

人の気持ちに敏感な方だとは思っていたが、近くにいるようになってより強く感じていた。


「そっか。で、ほんとに一緒に寝んの?」
「ベッド広いしいいでしょ」


ベッドは贅沢にもダブルサイズではあるがすぐ近くに自分の部屋があり、一緒に寝る理由はない。

だが俺は「別にいいけど」と答えていた。


だって玉森は気付いている。


俺が今、一人でいたくないことを。


年上なのに情けないとは思うが、その優しさに甘えたかった。


「そんなに端っこにいかなくても大丈夫だけど」


なんとなく気恥ずかしくてベッドの端に体を寄せると声が掛かり、少しだけ中央に体を寄せた。

すると玉森は笑いながら、もっとこっちと抱き寄せてくる。


「ちょ、たまっ」
「うるさい。寝るから静かにして」
「いや、だったらもっと離れた方が」
「抱き枕みたいでいい感じだから」
「えー……?」


玉森の長い腕が俺の体に緩く巻きつき、温もりを感じる。
クーラーで冷やされた部屋ではひと肌の温もりが意外と心地良く、なんだか眠たくなってきた。

元から強く抵抗する気はないので、そのまま大人しく腕の中にいると優しい声で「おやすみ」と聞こえる。


心の中でありがとうと言うと、そのまま目を閉じた。




藤ヶ谷の目の下の隈は、次の日も変わらず主張していた。

昨日よりも濃くなった気がしたのが、本当なのか俺の気のせいなのかは分からない。


藤ヶ谷のことを考えるのはやめたんだ、そう強く自分に言い聞かせ視界に入らないよう目を伏せた。

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くらげ(プロフ) - makoanjyuさん» makoanjyuさん、いつもありがとうございます!Fさん言葉にはしない癖に無意識に行動しちゃうからいつも大変な事に(^_^;)Kさんに否定されTさんに嫉妬して心の嵐に翻弄されるFさんとT、Y、Oさん其々の想いがどう交錯していくのか移行後も見届けてもらえたら嬉しいです! (2019年6月26日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
makoanjyu(プロフ) - いきなりKさんにキスしちゃったFさん。相手に否定されて初めて味わう嫉妬と独占欲!大好物デス(//∇//)TさんのKさんに対する甘やかす様な抱擁を見てしまったFさん。何で見に行っちゃうかなぁ。そしてTさん良い仕事しますね♪もっと暴れてください♪(´ε` ) (2019年6月25日 23時) (レス) id: 7bd3afd279 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - さゆりさん» さゆりさん、初めまして!仕事後のご褒美にしていますなんて言って頂き私の方がご褒美を貰った気持ちです。゚(゚´ω`゚)゚。これからもドキドキしてもらえるよう頑張りますので移行後もお付き合い願えれば嬉しいです(*´ω`*)コメント本当にありがとうございました! (2019年6月25日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
さゆり(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。くらげさんのこのお話が凄く好きで、毎回更新されていると勝手に仕事後のご褒美にしています。笑 Fさんやっと気付いて毎回切なくもドキドキ読ませていただいてます。くらげさんの描くお2人がとても繊細で大好きです^_^ (2019年6月25日 15時) (レス) id: 6b1f7122fc (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - makoanjyuさん» makoanjyuさん、こちらこそいつもご丁寧にありがとうございます!香水を買ってから長かったですがやっとここまで来たかと…!少しずつ変化していく2人を細かく書きたかったのでそう言って頂けて本当に嬉しいです(;ω;)次の更新でガッと動くので楽しみにして貰えたら! (2019年6月22日 2時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2019年5月17日 0時

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