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「…大丈夫、だと思う…」
とりあえず、冷静になるために、立ち上がると、その腕から逃げ出すように一歩前に立つ。
体を伸ばすと、バキバキと関節が鳴る。
待合のベンチの外は、すっかりと雨があがっていて、空気中の埃やゴミが、全部無くなり、とっても、クリアな感じだ。
雨が露になって残り、自治体の人が世話している花壇の花は、しっとりと濡れていた。
波止場の向こう側の港からは、もう、船の動くモーターの音が聞こえてきて、夜明けの頃だということを、教える。
世界を包んでいたグレーのシールドが、完全に光に溶けていく寸前。
「…旭、ここから、日が昇るのって、見えるの？」
後ろを振り返り、旭を見た。
真っ直ぐに俺を見る、旭と目が合った。
その時に、俺の胸は。
何の準備も無く。
何故か、大きく跳ねたんだ。
『ドキン！』
それはまるで、棒高跳びの選手が、バネの最後のしなりを使って上に跳びあがるように。
旭の髪は、転パが入っているらしく、日頃軽くウエーブが入り後ろになびいている。
けれど今は、一度雨に打たれたせいで、間延びしたように、額に落ちていた。
昨日の夜には気がつかなかったけど、着ているシャツには泥が飛び散っていて、どれだけ俺のことを探し回ったのかが、手に取るように分かる。
「…なに？」
立ち上がり、一歩一歩その姿が近付いてくると、俺の胸は救急車のサイレンが遠くからドンドン近くなる時の様に、その鼓動を早く大きく叩いた。
「……あの。ごめんな、俺…」
隣に立つ旭の顔を、まともに見ることも出来ずに、下を向いてぼそぼそと謝る。
「ああ〜。もういいよ。お互い様だろ」
そして、なぜか旭も明後日の方を向く。
なんだか、微妙な緊張感だ。
「…さっき何んか言った？」
その感じを誤魔化すように、旭が訊く。
「あ…ここから、朝日が昇るの見えるのかなって…」
「ここには、道は出来ないんだ。あの岬の向こう側から昇るから…」
真っ直ぐに伸ばされた指先を見るために、顔を上げ、身を乗り出すと。
俺を確認するように振り向いた旭の顔が、鼻先をかすめるほどの近くに現れる。
「「……！！」」
旭が息を飲む『ヒュッ』という音が、聞こえるほどの距離。
もしかしたら、もう一度大ジャンプをした、俺の心臓の音も、旭に届いているかも知れない。
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革ベルト
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wakano(プロフ) - あおみさん» 本当に長〜くなりそうです。世の中ぱっぱとどうにかなってしまう話が、多過ぎるな〜と（私を含め）。なので、時代に逆行しなかなか発展しない話しにしようと、思いまして。こんだけ書いて、やっとドキドキにもってこれました。この続きも、一緒に胸きゅんしましょう！ (2013年9月29日 23時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» もうね、この話は意地でも、ゆっくりと書こうと思います。じんわり、じんわり。多分話的には、半分済んだ位なので、私のスピードで考えると、どうしても冬は越えるでしょう（笑）覚悟してやってください！次もまた遊びに来てやってくださいね！ (2013年9月29日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あおみ(プロフ) - 冬になってもこの二人を見守れるんですね。嬉しいです。長〜く読ませて貰えるんですから(^^)誠君のドキドキが私にも伝染して胸キュン（死語ですか？）です。あっちの二人の諍いが誠君の気持ちを変化させた原因ですからね、気になりますね。 (2013年9月29日 10時) (レス) id: 65e0db38aa (このIDを非表示/違反報告)
＊華＊(プロフ) - ふふふ、ゆっくりゆっくり変わっていく誠を楽しんでます（はぁと）旭は色々気付いてるからそれも楽しいです☆渉達はどうなるのかな。勿論季節が冬になってもついていきまーすっ♪ (2013年9月29日 9時) (携帯から) (レス) id: 27604c18e7 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» はい、このいけず〜な展開が書きたくて、書きたくて、長々と雷のエピソードを入れたんです。良い損なった何かを、朝日が飲み込む代わりに、誠が少しだけ、旭に対して変わってくれるかな〜？と思ってます。頑張れ、旭！ (2013年9月8日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2012年8月3日 0時
