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「…旭」
「何だよ？」
「…今度は学校の時みたいに、何か俺に注意することないの？」
「……思いつかない…」
「そうなの？」
「とりあえず…。俺は今の状況をちゃんと伝えて、誠のこと紹介しようと思う。…何て言っても、社長はこの人だから。経営責任てのがあんだろ？ この人がだめだって言ったら、やっぱりどうしようもないし。今更、繕ってもしょうがない」
「…うん」
「…あのさ…」
じっと、名札を凝視したまま、旭は続ける。
「…誠が、やりたいって言ってくれて、嬉しかったよ」
「…うん」
「だから…そこが伝わってくれたらいい。誠は…どうやっても誠だから。…そのまんまでいいよ」
胸がじんとした瞬間。
心の準備なんかは思いっきり出来る間も無く、目の前の扉はがらりと引かれ、レースのカーテンの隙間越しに部屋へ差し込んでくる日差しの眩しさが、目をシバシバさせた。
二人部屋の向かって右側のベッドに、若いきれいな人が座っているのが、目に飛び込んでくる。
長いさらりとした茶髪は、ゆるいカーブを描きながら、胸の辺りまで垂れている。
イヤホーンで備え付けのＴＶを見ているため、俺たちが入ってきたことには気がついていないらしい。
どうやらお笑い系の番組を見ているらしく、時々彼女は笑いながら、体操座りをして抱えている膝を、ばしばしと叩きながら笑っていた。
反対側のベッドには、半分ベッドの仕切り用のカーテンを引いた状態で、見るからにおばちゃんが、ガーガーとイビキを掻きながら昼寝をしていた。
『母』と名のつく年代は、どう考えても左のおばちゃんで、俺はそっと様子を窺うようにカーテンを覗き込んで見ようとした。
でも、繋いだ手が反対方向に俺を引っ張った。
旭は、そのきれいな人の傍に行き、包帯の手を目の前で振って見せた。
はっと、こちらに向けられたその人が、旭の血族であることは、その意志の強そうな目力が、何よりも強く物語っていた。
「…旭、来たんだー…」
そう言って、向ける笑顔は、艶やかで。
どう見たって、『母ちゃん』なんかではなく、『姉ちゃん』だろう。
多分、俺の口は半分開いていたはずだ。
昔から俺の口は、何かの拍子に『閉じる』という自覚を忘れると、ぽかーんと開いてしまう。
まさに、今がその瞬間と言う感じだった。
そんな俺を見つけて、彼女は笑い掛けた。
「…なになに〜？ 新しい彼女？手なんか繋いでラブいね〜」
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wakano(プロフ) - あおみさん» 本当に長〜くなりそうです。世の中ぱっぱとどうにかなってしまう話が、多過ぎるな〜と（私を含め）。なので、時代に逆行しなかなか発展しない話しにしようと、思いまして。こんだけ書いて、やっとドキドキにもってこれました。この続きも、一緒に胸きゅんしましょう！ (2013年9月29日 23時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» もうね、この話は意地でも、ゆっくりと書こうと思います。じんわり、じんわり。多分話的には、半分済んだ位なので、私のスピードで考えると、どうしても冬は越えるでしょう（笑）覚悟してやってください！次もまた遊びに来てやってくださいね！ (2013年9月29日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あおみ(プロフ) - 冬になってもこの二人を見守れるんですね。嬉しいです。長〜く読ませて貰えるんですから(^^)誠君のドキドキが私にも伝染して胸キュン（死語ですか？）です。あっちの二人の諍いが誠君の気持ちを変化させた原因ですからね、気になりますね。 (2013年9月29日 10時) (レス) id: 65e0db38aa (このIDを非表示/違反報告)
＊華＊(プロフ) - ふふふ、ゆっくりゆっくり変わっていく誠を楽しんでます（はぁと）旭は色々気付いてるからそれも楽しいです☆渉達はどうなるのかな。勿論季節が冬になってもついていきまーすっ♪ (2013年9月29日 9時) (携帯から) (レス) id: 27604c18e7 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» はい、このいけず〜な展開が書きたくて、書きたくて、長々と雷のエピソードを入れたんです。良い損なった何かを、朝日が飲み込む代わりに、誠が少しだけ、旭に対して変わってくれるかな〜？と思ってます。頑張れ、旭！ (2013年9月8日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2012年8月3日 0時
