スパークル／１ ページ30
闇の中ので、一際輝いた光の残骸を拾い集めながら、ふと思う。
この一瞬の閃光に目を奪われ、残光で目の前をちかちかとさせながら、それでもその映像は余りに短く、もう既に細部を思い出すことさえできない。
痛烈な印象を残しながらも、忘れ去られる記憶。
その瞬間が美しければ美しいほどに、残らない事の悲しさ。
きみに、覚えていて欲しい。
痛いほどの想いを。
・
・
「ｼｮｳさん！なにしてんの？」
手にした錠剤を、ジリジリと容赦ない熱と紫外線で太陽に透かしている所を、渡り廊下を歩いているﾆﾉに見つかった。
校舎の間にある、箱庭のような庭に設置されている、ベンチに一人座り、ぼんやりとしていた。
慌てて、ぽんとそれを空中に投げ、ぱくりと口の中に納めると、手にしたペットボトルのお茶を流し込んだ。
「…なんかさ。この中の何が俺に効いてるんだろうと、不思議だったんだよ」
「…ふーん」
そのベンチの傍にある、楡の木で半分木陰になっている、ベンチの影の部分にちゃんと回りこんで、ﾆﾉは座る。
「あっちーな。もっとこっち来て座んなよ。こんな日差しの中によくいられるな。溶けちゃうよ」
そう言いながら、汗さえも浮かべない、その涼しげな顔を眺めた。
「…日に焼けもしないんだな」
「基本、太陽の下にはいないことにしてる」
そう言いながら、ﾆﾉはにやりと笑った。
「…俺ね、変わるのが嫌いなんだよ。いつもと違うって言うのが、不安になっちゃうの。それが例えば、自分の肌の色でも嫌。いっつも変わらないで、時が止まったように同じことをずっと繰り返してるのが、安心する」
「…ふ〜ん。なんかﾆﾉらしい。見てても分かるよ」
誘われるままに席を移し影に入ると、吹き付けてくる風さえ、温度を下げているような気がした。
そこには、もう季節を変えようとしている、自然の働きが感じられて、少しだけ気持ちが傾斜する。
ﾆﾉが言っているのは、こういう気持ちのことかと思った。
なんとも言えない寂しさが、胸をよぎった。
「……俺。…だからあんま、人との距離もさ、近くなりすぎないように調整したりする。……悪い癖だよ。でも…」
『でも』の続きが出てくるのか、暫く待ってみたけど、ﾆﾉはそれ以上話すつもりはないらしい。
ラッキーアイテム
革ベルト
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wakano(プロフ) - あおみさん» ドキドキ私もしてます。どうなるんだろう？（笑）大まかには決めてるんですが、一つだけ。死人は出ません！ (2012年9月13日 12時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あおみ(プロフ) - そんな…サトシくんはどうなっちゃうんですか！次回の更新を震えて待ちます。ドキドキします… (2012年9月13日 1時) (レス) id: e8e0a50d24 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - あおみさん» のんびりと書いていたので、凄く辛い時期が長かったですよね（笑）大変お待たせいたしました。まだもう少しお話自体は続きますが、二人の気持ちが伝わりあうのはもう目の前です！頑張りま〜す！ (2012年9月8日 11時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あおみ(プロフ) - アップ直後から何度も読み返し、ジュンくんとサトシくんとショウくんそれぞれの心を思って切なく、また温かな気持ちになります。素敵なお話、ありがとうございます！毎回毎回涙を堪えるのが辛いので外では読まないようにしてました。続き、震えて待ちます！ (2012年9月8日 8時) (レス) id: e8e0a50d24 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» やっと意志の疎通が出来そうなとこまで来ました。ここまできたら一気書きでしょう！『はろまい』返上で書き上げます！一話ずつ出来次第アップするので、お暇だったら覗いてみてください（ぺこり） (2012年9月8日 8時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2012年7月12日 12時
