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その頃から、ｼｮｳくんは時々『頭が痛い』と言うようになった。
ランダムに起こるその頭痛は、院への受験のストレスとか、睡眠不足とか色々と原因は考えられた。
春になれば。
何もかもが終わってしまえば、それもなくなるだろうと、そう思っていた。
「病院、行っとけよ。試験の日にそれが原因で、おおポカなんて最悪だかんな」
そんなことを言いながら、ｼｮｳくんがノートを広げるその横で、転寝をして嫌がられたりした。
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目を瞑りその裏側に映る人の顔を、決して口に出さずに、ずっと隣にいる人を見つめている。
それも。
もう、終わりだ。
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季節が変わって、空気が気持ち昼間の温度を上げた頃。
早生の桜が、もうその花びらを満開にひろげ、暗い季節が終わったことを告げていた。
卒業を目の前に控え、無事、ｼｮｳくんの院の合格も決まり、別れ行く、この学び舎を記憶に留めておきたくて、並木になっている白い道を歩いた。
ここに眠らせていく、自分の想いに、そっと『さよなら』を告げて。
隣に歩く人の手を握った。
その白に埋もれたような中で、ｼｮｳくんはいきなり俺を抱き締めた。
「…ｻﾄｼくん。…卒業祝いのプレゼントをあげる…」
顔を上げると、ｼｮｳくんの頬は濡れていた。
「……俺ら、別れよう」
一陣の風が舞って、桜は俺とｼｮｳくんにその花びらを、初めて散らせてみせた。
「…ｼｮｳくん？」
「…ずっとみんなといる時に、ｻﾄｼくんの最初に探す人が、俺になってくれればいいと思ってた」
最初にキスをした時のように、ｼｮｳくんの手は震えていた。
「……なんで？俺、何にもしてない。俺ちゃんとｼｮｳくんの隣にいたよね？…俺、ちゃんとｼｮｳくんのことも好きだよ！」
「…本当に好きな人に、『〜も』なんて使わないもんなんだよ」
いつものように、優しく諭すようにいうｼｮｳくんのジャケットを握って、俺は首を振りながらその肩に顔を埋めた。
「…わかんねー…。好きは…好きだ」
涙を飲み込むように少し上を向いて、ｼｮｳくんは『はー…』と吐息を吐いた。
「……ｻﾄｼくんを見てたら、頭が痛くなるんだ。俺を探さない落胆と、夢に見ながら呟く名前と。合いそうになった視線を慌てて外す繰り返し。…ｻﾄｼくんのことを想えば想うほど、辛くなるんだ」
俺の両肩を持って、その胸から引き剥がされる。
「……ﾏﾂｼﾞｭﾝのとこに、行って」
ざっと、春の風が強く俺とｼｮｳくんに吹きつけた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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wakano(プロフ) - あおみさん» ドキドキ私もしてます。どうなるんだろう？（笑）大まかには決めてるんですが、一つだけ。死人は出ません！ (2012年9月13日 12時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あおみ(プロフ) - そんな…サトシくんはどうなっちゃうんですか！次回の更新を震えて待ちます。ドキドキします… (2012年9月13日 1時) (レス) id: e8e0a50d24 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - あおみさん» のんびりと書いていたので、凄く辛い時期が長かったですよね（笑）大変お待たせいたしました。まだもう少しお話自体は続きますが、二人の気持ちが伝わりあうのはもう目の前です！頑張りま〜す！ (2012年9月8日 11時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あおみ(プロフ) - アップ直後から何度も読み返し、ジュンくんとサトシくんとショウくんそれぞれの心を思って切なく、また温かな気持ちになります。素敵なお話、ありがとうございます！毎回毎回涙を堪えるのが辛いので外では読まないようにしてました。続き、震えて待ちます！ (2012年9月8日 8時) (レス) id: e8e0a50d24 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» やっと意志の疎通が出来そうなとこまで来ました。ここまできたら一気書きでしょう！『はろまい』返上で書き上げます！一話ずつ出来次第アップするので、お暇だったら覗いてみてください（ぺこり） (2012年9月8日 8時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2012年7月12日 12時
