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「まあそうだね。元気にもなってきたことだし、退院したら、どっかのいい人捕まえて、もう一人くらい娘か息子作らなきゃね。なんか急に親離れして、寂しいし。あたしもがんばろー」

「…頑張れよ。応援すっから」

「はは、よろしく。ところでね、決まったから」

「なにが?」

「ここであたしが決まったって言って、わかんないの?あんまり浮かれすぎて、脳みそ溶けてるんじゃない?」

「あ、退院!!」

「そういうこと。9月の最初の金曜日。よろしく!」

「おめでとうございます!」

「うふ。ありがと」

「……やっとだな」

「何?この子泣きそうな顔して。もう、本当に可愛いんだから!」

由美ちゃんは嬉しそうに旭の頭を抱え込んで、ぐりぐりとその頭を撫で回した。

本当の感情を、表に出すのが苦手なところが、良く似てる。

俺は旭がやられているのを、笑いながら見ていた。



「よかったけど…なんだか…」

帰りの船の上で、旭がぽつんと言った。

「なんだか…なに?」

「…凄いスピードで、何もかもが、終わっていくような気がする…」

旭の言葉が俺にもズキンと響いた。

由美ちゃんが退院した時には、俺はもうここにはいない。

「…終わるんじゃないだろ。これから、第二章に突入するんだよ」

終わっていく雰囲気に、流されちゃいけないんだ。

「第二章ってなんだよ」

クスリと笑う旭を見て、愛しさと不安が入り混じった気持ちになる。

日が落ちる時間も、気のせいか早くなって、夕日に照らされた海は、オレンジ色にキラキラと瞬いて、俺たちを染めた。

「離れても、諦めない、試練ってとこ?」

眩しくて、思わず波にくるりと背を向け、握り締めていた手摺に、凭れかかった。

もう、風さえも涼しく感じてしまう時期がやってきていた。

現実が目の前に迫ってくる。

「旭…俺ね、8月の末に帰ることにした」

それがぎりぎり精一杯。

いつかやってくるその時を、もう、黙って待っているわけにはいかない。

残りの日々を、後悔なく過ごすために。

「うん。わかってた」

風に吹かれて目に掛かる前髪をかきあげ、旭は、優しく俺のことを見た。

「…聞きたくなかったけどな」

そして、そっとキスをした。

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wakano(プロフ) - *華*さん» なんだか、これだけ細かく書いてると、最後までいくのに何ページ使うの?って思うんですが、きっと旭も丁寧にやろうとするだろうし、誠は、『わっきゃっ』うるさいだろうし、と思うと、なかなか進みません(汗)何より、ちょっと楽しくなってきた(笑) (2014年10月2日 22時) (レス) id: 660e647bc0 (このIDを非表示/違反報告)
*華*(プロフ) - 脱ぐってまこっちゃん男らしいね!(笑)でもそこでリードを渡さない旭も男らしい。ふたりの相手を想う気持ちと初々しさにニヤニヤしちゃいます。 (2014年10月2日 10時) (レス) id: 05fe7ce0c3 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - *華*さん» 旭の母ちゃん、とっても書き易いいい人です(笑) 苦労人なんですが、それ故さっぱりしていてかっこいい。味方でよかったねという感じです。ここの場面はラストに持ってこようかどうしようかと迷いましたが、残された時間に気がつきどうするべきか考える誠を書きました (2014年9月28日 19時) (レス) id: 660e647bc0 (このIDを非表示/違反報告)
*華*(プロフ) - 怒涛の更新お疲れ様です☆思わず旭母ちゃん初対面のときを読み返しちゃいました(о´∀`о)誠からそんなこと伝えるなんて、何だか感慨深いです♪(気分はすっかり親戚のオバチャン化した応援団)旭の二人の未来を見据えての落ち着きが嬉しいです(*´∀`)♪二人共頑張れ~ (2014年9月26日 11時) (レス) id: 18f431e9cb (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - 天羽さん» はい、いよいよです。長かったわ〜(笑)こんなにお初に時間が掛かったのは初めてです。まあ、最初はキス止まりの話にしようと思ってたので、こういうことになってしまったんですが。話としては一ヶ月少々のお話ですが、私の積もり積もったものをぶつけたいと思います。 (2014年9月26日 6時) (レス) id: 660e647bc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:wakano | 作者ホームページ:http://wakano.blog.fc2.com/  
作成日時:2014年5月25日 21時

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