Ｈｅｌｌｏ，Ｍｙ ｓｕｎｓｈｉｎｅ 4

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「帰ってきたよ、旭」

その肩に顔を埋めると、大きく息を吸い込む音が聞こえた。

俺の体に最初、そっと沿わすように回されていた腕が、しっかりと背中に回る。

「……」

息を飲み込む気配だけが、ずっと耳元で繰り返された。

「もう少しだけ。夏が終わるまで、俺のこと、雇ってよ」

「……」

ぎゅっと。

俺を押し付ける腕の力に、まるで力比べみたいだと気付き、俺はふっと体を旭に預けた。

「…旭」

「…ん」

やっと、返された呻きのような返事。

「旭って、本当は泣き虫だったんだ」

「……お前にだけは、言われたくねーよ…」

鼻に掛かった語気の荒い返事が、旭が止まらない涙を、物凄く恥ずかしがっていることを、教える。

「……俺はね、もう泣かないんだ」

「……」

「ここに、戻って来れたから」

旭がいる場所が、俺の帰る場所。

この夏が、俺の人生を180度変えてしまった。

そっと顔を上げると、正面に大きな瞳を真っ赤にした旭の顔があって。

それの、今までに見たことのないような表情が、愛しさを倍増させる。

「…旭…可愛い」

「…お前、こっち見んな！」

旭が慌てて、片手で自分の顔を覆う。

「無理だろ。こんだけくっついてたら。てか、隠すなよ」

俺はその手の下の、妙に可愛く見える、旭の泣き顔が見たくて堪らず、引っぺがそうと手首を掴む。

「…誠！ お前、止めないと…」

「止めないと…？」

すっと抵抗が引いたかと思った瞬間、逆に手首を取られた。

旭の真剣な顔が、瞬間見えたと思ったら、ぐんとそれが近づき、反射的に目を瞑る。

その俺の上に、そっと落ちてきた柔らかな感触に。

どくんと。

胸に杭を打ち込まれたような気持ちになった。

それが、今までの、どのキスよりも甘くて。

これまでの数日を、忘れさせてくれるみたいだ。

とどめを刺された。

その甘さに酔わされるように、そう思った。



「今度はさ。ちゃんと、堂々とやってたよね」

朝日荘に帰りながら、芳がさらっと言った言葉に、俺と旭は顔が上げられなくなる。

「でもま、いいんじゃない。お前ら、なんかもう脇で見ててもイライラするくらいの、進み具合だったし。お互いにちゃんと意思の疎通が出来て、よかったよかった」

渉にそう言われて、ふっと、記憶が蘇る。

「そういえば、さっき言ったことって…」

「ご想像にお任せします」

渉は得意なニッとした笑顔を作ると、芳の手を取る。

「…負けられないからね」

そして、その手をわざわざ恋人繋ぎに直した。

その日まで１→←２６

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