ただ、誰かを守りたかった【Fate】【僕のヒーローアカデミア】 (ページ9)

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玖ページ9

床から視線を放し、改めて棚に目をやる。

先ほど垂涎ものとか言ったが、普通の魔術師の家計にとってはの話だ。君主(ロード)とか三大貴族とかの名家の話ではない。高価なことに違いはないが。

「ん……？」

ある一点に目をやり、眉をひそめる。

「黒鍵……？」

投擲に特化した剣。刀身は聖書のページを精製したもので作られているのだったか。聖堂教会の上級の代行者ともなれば、柄だけを大量に持ち歩き、刃はその場で作ってしまうことも可能と聞くが。

まあ扱いづらいらしいので持ち歩いているだけで相当な鍛錬マニアらしいけど。現在は敬遠される傾向にあるらしい。

「こっちは……灰錠か」

手と足につけられる灰色の鎧甲だ。普段はただの手袋やブーツに擬態しつつ、設定された紙片を滑らせただけで本来の姿を取り戻す。

こちらも黒鍵同様、聖堂教会の代行者が使用する。ただし、あちらが正式武装なのにたいしてこちらは標準装備だが。ちなみに黒鍵よりよほど扱いやすい。

両者ともに、「概念武装」と呼ばれるものだ。物理的な破壊力ではなく、「意味・概念への干渉」を起こす武装。一応普通の人間に対しても殺傷能力はあるが、通常兵器で事足りる程度である。

要するに、物理的な攻撃が効かない相手。いわゆる吸血鬼や幽霊に対して使われる武器ということだ。概念武装なのだから、概念によってしか傷つけられない相手にこそ真価を発揮する。

サブカルチャーなんかの陰陽師が悪霊相手に使うお札みたいなものだとでも思えばいいんじゃないかな。