ただ、誰かを守りたかった【Fate】【僕のヒーローアカデミア】 (ページ38)

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参拾捌ページ38

敵(ヴィラン)を一人見つけて飛び出していったAにクラスメイトと教師が声をかけるが、彼女は聞きもしなかった。
高い位置から移動するのだから格好の的となるはずなのに、なぜか敵はAには手を出さない。
彼女と彼女の標的らしき敵一人にスペースを作り避ける様子まで見せる始末だ。

当然相澤も13号も訝しむが、やるべき事は山ほどある。生徒たちには指示を出し、イレイザーヘッドは一人で敵を制圧するために飛び込んでいった。

抹消の“個性”で発動系や変形系の“個性”を消し、異業系には体術で無力化する。
多対一の戦闘のさなか、瞬きの合間にイレイザーヘッドは黒霧に“個性”の使用を許してしまう。
そこで黒霧の口から「オールマイトを殺す」という衝撃的な言葉が放たれた。

黒霧の“個性”によりA組の一部がUSJのあちらこちらに飛ばされる。
飯田天哉に13号が指示し、彼は助けを求めて走り出した。

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(……助けを、呼びに行ったか)

A組の連携によって飯田がUSJ外に出たことをAは知覚した。
現在彼女がいるのは広場、倒壊ゾーン、土砂ゾーンの間。サーヴァント二騎がいるのは広場、土砂ゾーン、水難ゾーンの間だ。

正直なところ、相手の魔術師としての技量は高くない、とAは思う。
並以下の、どこにでもいる平凡な魔術師だ。
ついでに彼女は男と相性がいい。魔術師ではなく代行者としての意識に切り替えて、黒鍵と灰錠をためらいなく振るう。死霊なんて格好の的だ。

近寄ってくるものを黒鍵と灰錠で排除して、散らばったものには洗礼詠唱を。
その他の男の術式も完封して、無力化させるため動きそのものを封じ込めようとする。
そして、消耗戦の最中、唐突に。

「ランサー！ガキ共を殺せ！」

令呪の一画を使用して、男が叫ぶ。
移動に対しての使用のため、行動が強制されるわけではないが、カルナが逆らう理由もない。
無慈悲に、槍が振り下ろされる――――。