ただ、誰かを守りたかった【Fate】【僕のヒーローアカデミア】 (ページ34)

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参拾肆ページ34

水曜日。Wednesday。オーディンの日、だったか。
昼食後の教室で、ふとそのようなことを思う。

隻眼の主神。自分を自分に捧げた北欧の神。トリックスターのロキとは義兄弟で、
……残酷なほどに平等な、かの旅で導いていた神。

導きと言えば北極星もそうだな、などと思考が流れたとき、チャイムが鳴った。
今日のヒーロー基礎学は人命救助(レスキュー)訓練だ。コスチュームの着用は各自の判断。訓練場へはバスで行く。

特に活動が限定されるわけでもないし、私は着た方がいいだろう。
なんとなく嫌な予感がして、下げたポーチに薬を増やした。

(はは、張り切っている)

まあ多少空回りしているようにも見えるけれど。
意味はなかったが、飯田さんの整列を促す姿は好感を覚える。

「こういうタイプだったくそう!!!」
「イミなかったなー」

相槌を打ったのは芦戸さん。
落ち込んでいるが、そういうこともあるだろう。
現地に着くまでの間、話題になると言えばやはり“個性”のことだ。

「あなたの“個性”オールマイトに似てる」
「!!!」

蛙吹さんの発言に、緑谷さんが大げさに驚く。
……ああ、つまりあれはそういうことだったのか。

一人納得して、繋がる話題に耳を傾ける。うん、なんとか誤魔化せたみたいだ。
この喧騒は嫌いじゃない。