ただ、誰かを守りたかった【Fate】【僕のヒーローアカデミア】 (ページ32)

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参拾弐ページ32

昼休み、弁当箱と水筒を持って外に出る。百さんと食べる選択肢もあったが、今日は遠慮しておいた。
食堂や教室以外に、外で食べる選択肢もあるのがありがたい。

木の根元に座り、サンドイッチにかじりつく。老夫婦に山菜を大量に頂いたので、それを挟んだのだ。天ぷら……は後処理が面倒だし、残りはおひたしにでもしようか。

「雄英(ここ)ではどこで見られているかもわかりませんよね」

木の幹に背を預け、世間話のように口に出す。
ここで姿を現すのはいくらなんでもリスキーか。記録(ログ)はどこでも撮られる時代であるし、周知してないのだから混乱を招くだけだ。

一応、周囲に誰もいないのは確認済みだが。
人間だけなら結界を張ればいいだけだが、機械はそうもいかない。

…………ん？

校内で、けたたましく鳴る警報。
確認できたのは、侵入してきたマスコミと、焦って押し合いへし合いしながら外に出ようとする生徒たちだ。……なるほど。

離れた場所であるここに影響はないだろうし、と放っておいて昼食を続ける。実際すぐに収拾がついた。誰か冷静な上級生が落ち着かせたんじゃないだろうか。

その後のホームルームで、あれを収めたのは飯田さんだと知って驚いてしまった。いや、的確な判断ができる人間だとは思っていたけど、てっきり一年生が動く前に上級生が率先してするかと。

委員長は飯田さんに変更だ。異論は全くない。
空気になった百さんがちょっとだけ可哀想だった。