ただ、誰かを守りたかった【Fate】【僕のヒーローアカデミア】 (ページ23)

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弐拾参ページ23

光陰矢の如しとはよく言ったもので、四月、入学式はあっという間にやってきた。

自宅からおよそ四十分。近────くはないが、さほど遠いというわけでもない。そんな位置だ。

校門をくぐり、やたら大きなドアをスライドさせる。車椅子でも余裕で入れるだろう。
様々な”個性”をもつものがいるし、その為だろうか。

さて、どんな人間がいるだろうかと期待していると──

「──てめーどこ中だよ端役が!」

という乱暴な声が飛び込んできたのだ。ヒーロー志望らしからぬ物言いである。
これで人助けができるのか？と一瞬思ってしまった私は悪くない、はずだ。

言動、外見で全て判断するのは危険だが、これはどうみても素だろう。人助けよりも敵を倒すことを優先するタイプだ。それが悪いとは言わないが、アンチもそれなりにできる。

ツンツンしたクリーム色の髪をなるべく視界に入れないように、けれど動向は知れるように、教室の後ろにまわって席に着く。教室の一番左後ろ。百さんの後ろだ。

だいたいそろっているので、明日からはもう少しはやく来ようと思う。
乗る交通機関を早くしてもこの様子なら問題ない。

「おはようございます、Aさん。こうして会うのは久しぶりですわね」

「おはよう、百さん。ええ、こうして直接会うのはお正月以来ね。こうして同じクラスになれて嬉しいわ」

さっそく話しかけて来た友人に笑顔で返す。年明けに共に初詣に行ったきり、電話越しにしか話していなかったのだ。主に長期休みに家を空ける私のせいである。