ただ、誰かを守りたかった【Fate】【僕のヒーローアカデミア】 (ページ1)

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壱ページ1

ここは何処なんだろう、というのが、目覚めてまず思ったことだ。
少し記憶は曖昧だが、私は確かに死んだはずで――

(――――え？)

唐突に大量の記憶が流れ込む。
数人分の人生を合わせたのではないかと思うほどの膨大な量だ。
脳の処理が追い付かず、ボロリと大粒の雫が眦に浮かび、瞬く間に決壊する。歪んだ視界でそれを知った。

後から思えば、幼い体が限界を訴えていたのだろう。何かを考える暇もなく、私の意識はブラックアウトしたのだった。

◇◇◇

再び目を覚まして、人と関わり、そして暫く過ごしてわかった事はと言えば、私はどうやら別の世界――俗にいう『異世界』――に来てしまったらしいということだ。

“個性”と呼ばれる異能をほぼ総ての人間が持っていて、『ヒーロー』という職業がある。なんともまあファンタジーな話だ。

(……まあ、数人分の人生の記憶がある時点で私も大概か)

今の私には、多くの人間の記憶が混在している。
魔術師であった。聖職者であった。歴史に埋没する凡人であった。能力を失えど、なお人智を越える力を持つ者であった。あるいは、それらを観測する者でさえあった。――平たく言えば、混沌(カオス)というやつだ。他にも何人もの記憶がある。

かろうじて見覚えのある世界観ではあるものの、ろくにストーリーを知らない物語の中で、はてさてどの様に生きようか。