第71話 ページ26
その後、私達でエレンの肩を担ぎ、医務室に運び込んだ。夕食のため、食堂の椅子に座る彼の姿は、まるで死人のようだ。包帯の巻かれた頭から、煙が出ているように見えるのは気のせいだろうか。
(それにしても、あそこまで出来ないなんて、あるのかしら…？)
4人でテーブルを囲みながら、私は一人、不審に思っていた。私の知る限り、エレンの運動神経は決して悪くない。もちろん、ミカサに比べれば劣るが、アルミンよりも…というのは、少々考えにくい。
「なぁダズ、あいつ確か、昨日巨人を皆殺しにしてやるとか言ってた奴だよな」
「まぁ、明日には開拓地入りだろ。役立たずに食わせる飯はねぇからよ」
馬鹿にする笑い声が聞こえてくる。鋭くそちらを睨むと、話していた2人は静かになった。
「気にしても仕方ないよ、明日出来るようになればいいんだから」
アルミンがそう励ますも、エレンの表情は暗いままだった。
「情けねぇ…こんなんじゃ、奴らを根絶やしにすることなんか…」
「もうそんなこと目指すべきじゃない」
スープを口に運ぶ手を止め、ミカサが言う。
「何だって」
エレンが険しい顔で詰め寄る。それでもミカサの冷静な表情は変わらなかった。
「兵士を目指すべきじゃないと言っている。何も、命をなげうつことだけが戦うことじゃない」
「お前な…俺はあの日、あの光景を見ちまったんだぞ。そんな理屈で納得できると思うのか？」
(『あの光景』…)
押し寄せる巨人達、逃げ惑う人々、黒々しい血だまり。まるで悪夢のような『あの日』、エレンは自らの母親が無惨に貪られる様子を目の当たりにしている。巨人への復讐を固く誓った彼が、そう簡単に諦められるわけがない。
「でも、その覚悟の程は関係ない」
「あぁ？何でだよ」
「兵士になれるかどうか判断するのは、エレンじゃないから」
ミカサの言葉に、エレンは口の端を歪めた。
夕食の終わりを告げる鐘が鳴り、エレンがテーブルから立ち上がる。困ったように私を見るアルミンに、私は「大丈夫」と口を動かした。2人が行っても、ミカサはそのまま話し続けた。
「私は何も、エレンだけ開拓地に戻れと言ってるんじゃない。心配しなくていい。その時は私も、一緒に行くから」
ミカサが、さっきまでエレン達がいた所を向く。しかし、
「えぇっと…つまり、それ貰ってもいいって、ことですか？」
そこにいたのは、彼女が持つパンを物欲しそうに指差すブラウスだった。ミカサは真顔のまま、パンを口に運んだ。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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美翔(プロフ) - ニャー♪さん» コメントありがとうございます！ちまちま伏線を仕込んでいたりするので、楽しみにしていてくださいね♪ (2015年2月7日 23時) (
レス) id: 25a2966a5a (このIDを非表示/違反報告)
ニャー♪ - とても面白いです！これからの展開が楽しみです♪ (2015年2月7日 22時) (レス) id: 0827b25480 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 小悪魔女子さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけているようで、本当に嬉しいです。これからも頑張ります！ (2014年12月25日 15時) (レス) id: 45953354bd (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔女子 - 物凄く面白く楽しませてもらってますそして私は、応援してます！ (2014年12月24日 1時) (レス) id: 8999ac6131 (このIDを非表示/違反報告)
夏実(プロフ) - 頑張って下さい!!ずっと応援しているので！ (2014年11月29日 23時) (レス) id: 129fe6e4a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美翔 | 作成日時：2014年6月11日 7時
