第63話 ページ18
午後1時。
新品の制服を身にまとったぴかぴかの新訓練兵達は、晴天の下、緊張した面持ちで整列していた。
「ただ今より、第104期訓練兵団の入団式を始める！私が運悪く貴様らを監督することになった、キース・シャーディスだ！貴様らを歓迎する気は毛頭ない！」
(『毛頭』ない、ねぇ…)
私のいる最後列でも眩しく感じられるほどに、禿げ上がった頭が、太陽光を反射して光っている。以前はどんな髪型だったのだろう。
(そういえば、何だか聞き覚えのある名前…)
記憶を巡らすと、張りのある老人の声が脳内に響いた。
『私の生徒に、シャーディスと言うのがいましてね…彼は優秀な兵士でした。強面なんですが、まめな奴で、よく手紙が送られてきますよ。今は調査兵団の団長を務めているようですね。』
そう、ルイスの教え子の一人だ。この話を聞いたのは随分前だから、現在は別の人物が調査兵団のトップに立っているのだろう。厳つい顔をしたあの教官が、真面目に手紙を書いている様子を想像し、私は笑いを噛み殺した。
そんなことをしている間に、ひとしきり喋り終わったらしい元調査兵団団長は、段から降り、
「おい、貴様っ！」
「はっ！」
いきなり、兵士を怒鳴りつけた。
「貴様の名前は何だ⁉」
「シガンシナ区出身、アルミン・アルレルトです！」
「そうか、馬鹿みてぇな名前だな！親がつけたのか？」
「祖父がつけてくれました！」
「アルレルト、貴様は何しにここへ来た⁉」
「人類の勝利の役に立つ為です！」
「そうか、それは素晴らしいな！貴様には巨人の餌になってもらおう！3列目、後ろを向け！」
(これが、『通過儀礼』…)
ルイスによると、『それまでの自分を否定して、真っさらな状態から兵士に適した人材を育てるのに必要な過程』だそうだ。訓練兵団が結成された当時から続いている、いわゆる伝統行事らしい。
中には、エレンやミカサのように、教官に声をかけられていない者達もいる。彼らの真剣な顔つきから考えると、共通点は、巨人の侵攻を実際に目の当たりにしている、ということのようだ。ベテランの教官ともなれば、覚悟の違いが見て取れるのだろう。
それにしても、先程のアルミンの受け答えには驚いた。急な出来事にも毅然として、冷静に対処できている。
(彼のような人物が、組織の長にふさわしいのでしょうね…)
ふと、息子とは似ても似つかぬ顔をした、下衆な笑みを思い出し、私は小さく顔をしかめた。
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美翔(プロフ) - ニャー♪さん» コメントありがとうございます！ちまちま伏線を仕込んでいたりするので、楽しみにしていてくださいね♪ (2015年2月7日 23時) (
レス) id: 25a2966a5a (このIDを非表示/違反報告)
ニャー♪ - とても面白いです！これからの展開が楽しみです♪ (2015年2月7日 22時) (レス) id: 0827b25480 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 小悪魔女子さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけているようで、本当に嬉しいです。これからも頑張ります！ (2014年12月25日 15時) (レス) id: 45953354bd (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔女子 - 物凄く面白く楽しませてもらってますそして私は、応援してます！ (2014年12月24日 1時) (レス) id: 8999ac6131 (このIDを非表示/違反報告)
夏実(プロフ) - 頑張って下さい!!ずっと応援しているので！ (2014年11月29日 23時) (レス) id: 129fe6e4a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美翔 | 作成日時：2014年6月11日 7時
