目指せ！華のモブ生活！【稲荷崎】

37話 宮治side ページ39

席替えをして何日か経ったが、Aは相変わらず静かやった。たまに挨拶するくらいや。今思うと挨拶を俺からしてた時点で少し気になっていたのかもしれへん。


俺の中でのAの印象が大きく変わったのは球技大会の日やった。
俺は朝眠くて机にふせていた。
隣でガタッと言う音がした。


「おはよう」


いつもは俺が挨拶しないと挨拶してこないくせに今日は挨拶してきた。
珍しいと思い挨拶を返そうと横をむく


治(…。綺麗やな)


なんて思って少し黙ってしまった。すると向こうは心配してきた。
俺は自分自身に驚いていた。


俺が試合をしてる時なぜかAの声だけすごいよく聞こえた。せやからそっちを見てしまってもしょうがないと思う。


球技大会はツムに負けた。正直うざい。
唯一勝ち残っている男女混合バレーがツムのクラスとやるらしいので勝てやと言いに行こうと思うたら、Aもその競技に出ることを思い出した。


これはさっきの応援のお返しやと負けんなやと言いに行ったらすごい驚いていた。
その反応が可愛くて思わず少し笑ってしまった。



最近おれはAに驚かされてばかりや。
まさかバレー経験者なんて思ってなかったわ。ポジションがツムと同じなのは癪だが俺がスパイク打てると思うと嬉しかった。思わず声をかけに行くくらいには






この日、俺はAが気になり始めたことを自覚したんや。






次の日俺はAを勉強に誘ってみた。俺はやる時はやる男や。少し急すぎたかと思ったがAはOKしてくれた。ほんま、いつからこんな好きになったんやろ。



Aのおかげでテストも上手くいった。ほんと感謝しかないわ。
俺は攻めの姿勢をくずさない。
Aに春高を見に来るように誘った。
Aはすごい驚いていたがOKしてくれた。
その日から今まで以上に練習に力を入れた。




春高当日。Aが来てくれたからか、調子が良かった。でも、試合が終わったあと梟谷の主将と話してた時は焦ったわ。しかもファンだとか言ってた。少しイラッとしたからかってしもうた。
男の嫉妬なんて見苦しいわ。




次の日俺たちの春高が終わった。

(Aに合わせる顔がないわ。)

そう思っていたが冬休み明けに、普通に話しかけてくれた。あん時はほんま助かったわ。

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