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第十六話 ページ18







『…太宰、邪魔』

「君の体が大きくなりすぎたんじゃないかな」

『それ、そのまま返すよ。180cm男』



買い物袋を腕にぶら下げつつ太宰の監視もしっかりこなしている僕は

きっとデキる職員だ。うん、これだけのお手伝いさん的な仕事ならいいかもしれない

僕がそう思ってさり気なく歩道の内側に入る



「怖いのかい?」

『は?』

「警察が」

『何言ってるのかな?』



突然発せられた声に意味が分からず質問を返す



「君は気づいてないだろうが…買い物の途中も顔を隠す動作に俯いて歩く癖、顔を覆う仕草、
そして歩道の内側を歩き、人の目を避けている様子だ」

『……』

「君は私以外の人間から「三日月鈴は危険な異能者」という記憶を削除したはずだろう?
なのになぜ怯えているんだい?そんな弱い精神に育てた覚えはないのだけど…


君は_____」


『太宰』


鈴の声音は凍っていた。氷点下の眼差しとその視線は刃物よりも鋭い

その氷の視線に太宰はピクリとも反応を示さない

まるで久しぶりに再開した友人のような気軽さであった




『昔の僕は、もう殺したんだ(・・・・・・・)そんな奴もういない』

「過去は消えないよ。私の前にはたしかに存在している」

『…………』

「荒れてるねぇ…」



確かな太宰の言葉に反論する気力も失せたのか、それとも何も言えなかったのか

ずっと監視していた太宰を置いていき鈴は静かに歩き始めた。

_____微小の氷刃を目の奥に宿して












『おばさん』



カランコロン…聴き心地のいいベル音が鳴った

喫茶店に帰ると変わらない人の良い笑顔のおばさん


「あら、鈴ちゃんお帰りー。お使いご苦労様…って太宰ちゃんは?」

『…どっか行った』

「鈴ちゃんの監視を掻い潜られちまったかい」

『冷蔵庫に食品入れておきます』


僕が監視を放棄したことがバレないように厨房に逃げた

幸い探偵社の人間はおらず、人がチラホラとコーヒーを啜ってる程度

この時間帯が落ち着くと知ったのは4ヶ月前だった



『おばさん。人の記憶を消す方法知ってますか?』

「知らないねぇ…」

『記憶を消す装置が落ちてないかなァ…』

「記憶がなくなったら楽しかったことも嬉しかったことも忘れちまいよ?」




この疑問はよく言われる

僕にとって疑問な疑問だ。





『人間誰しも幸せな記憶だけじゃないです。

それに悪をつくった記憶を消せば争いは消え失せる。それなら記憶が溢れても構いません。』

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みき - とっても面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月16日 8時) (レス) id: 8d56403f64 (このIDを非表示/違反報告)
☆のん☆(プロフ) - 11話、淳じゃなくて「敦」です。キャラクターについての誤字はもっと気をつけたほうがいいと思います。 (2019年5月21日 15時) (レス) id: b41524b4b3 (このIDを非表示/違反報告)
十夜 - クドい様ですが、敦が淳になってます。 (2019年5月6日 21時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 続きめちゃめちゃ楽しみにしてます! (2019年5月1日 21時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
なっつ(プロフ) - 中島敦が中島淳になってますよー!更新応援しています! (2019年4月26日 21時) (レス) id: 956baee6af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水餅 | 作成日時:2019年4月20日 12時

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