スキな顔 ページ9
笹森「佐鳥〜、次移動だぞ〜。」
佐鳥「ちょいまち、ここ書いたらすぐ行く！」
ボーダーの任務やら、広報活動やらで提出期限が間近になってしまった書類の最後の空欄を埋める。もう半分お尻は浮いている状態だ。
そのままの勢いでノートと教科書、あと筆箱と…、あ、携帯だ。それらを雑に持って扉の向こうで待っている級友たちの元へと駆ける。
あぁ、次の移動では2年生の教室を通るな。
ヒメさんのあの顔、また見れないかな だなんて少し気持ちの悪いことを考えるとすぐに、隣のクラスのアイツが鬼の形相でこっちを睨んできている気がして思わず体が震えた。
いやマジで、あいつはヤバい。
俺がヒメさんと初めて会ったのは多分入隊式の時。
正直第一印象なんてものはなくて、強いて言うならば「背の高い人だったような…。」って感じ。
いつの間にか仲良くなっていたのだって、とりまる経由なのか嵐山さん経由なのか、はたまた違う経由なのか。
まぁ確かにすごく整った顔をしていると思うし、とりまるみたいなイケメンにモテるのもわかる。
明るい笑顔で気さくで、気遣いのできる女神みたいな人だと思っていた。
いや、今も割と思ってるな。
佐鳥「(ま、間違えてでも恋愛的に好きとか言えばあいつがすっ飛んでくるんだろうけど。)」
印象が変わったのは、本当に偶然だったと思う。
あの頃はまだとりまるも太刀川隊の一員で、たまたま街で2人と会った。
向こうは2人で本部に向かうところだったみたいで、とりまるは急ぎの用だと出水先輩と2人で真剣に話していた。
残された俺とヒメさんは、当時は特に面識があったわけでもないから話が弾むわけでもない。でも何だか目が離せなくてじっと見てしまったのは許してほしい。
出水先輩と楽しそうに話していたあの横顔から、笑顔が消える瞬間が、とても綺麗だと素直に思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：通りすがりのいぬ | 作成日時：2022年5月19日 20時
