【WT】青春待ったなし！！！！！ (ページ10)

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沈みかけた夕日が、伏せがちになった彼女の長いまつ毛に反射し、キラキラと輝いて見えた。

佐鳥「(う、わ……。)」

何か芸術作品でも見ているような感覚に陥ってしまった。
…っと、あれ、俺これめっちゃキモくない？

佐鳥「(…なんか話題、話題……。)」

この時ばかりは俺のコミュ力と、観察力を褒めてもいいと思う。
さっきから出水先輩と話しながらもチラチラとこちらを気にするとりまる。

佐鳥「ひ〜めさ〜かセンパイ！」

『はい！』

佐鳥「そんなに畏まらないでくださいよぉ。俺は嵐山隊の佐鳥です！」

『あ、知ってますよ。私がちょうど入隊式の時に引率？してくださってたのでよく覚えてますよ。

改めまして、王子隊の姫坂Aです。』

佐鳥「出水先輩と一緒に歩いてるってことは高1ですか？
俺いっこ下なんで、敬語やめてください！」

『そう？じゃあ遠慮なく。
佐鳥くんは京介と本部に向かう途中だったの？』

佐鳥「そっすよ〜！てか、とりまるは呼び捨てなんすね！」

『確かに、京介はなんか京介って感じなんだよねぇ。多分、出水のせい。』

佐鳥「じゃあ、知り合った記念ってことで俺のことも名前で───」

烏丸「ヒメさん、これから本部ですか。一緒に行きませんか？」

…おもしれ〜！
やっぱとりまる姫坂先輩のこと好きなんじゃん。おれもヒメさんって呼んでやろ〜。

佐鳥「ヒメさん！4人で行きましょ！」

早く早くとヒメさんの腕をひいた俺をとりまるは多分睨んでたけど、この頃のこいつはまだやばくなかったから何も怖くない。

とまぁ、こんなことがあってからは、ヒメさんのあの伏せがちな表情が好きでよく観察してしまうのだ。
多分俺しか…、いやアイツは知ってるか。とにかく周りに知られていないヒメさんの表情を知っていると思うと心が少し躍るのも許してほしい。

笹森「今日の美術は映像見るらしいよ。」

半崎「へ〜。」

佐鳥「楽なのは助かるけど、俺まだ宿題終わってないんだよな〜。」

別役「教室暗いとできないな。」

佐鳥「ちぇーっ。」

あ、2-Bだ。

……やっぱりあの顔が好きだな。

ちなみに俺が1番好きなのは、ボーダー外の友達と話し終わって、笑顔が消えた後に、ボーダーの人と話し始めた時のあの変化だな。

あ、寒気。