【WT】青春待ったなし！！！！！ (ページ17)

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その頃は別に意識なんてしてなかった。
初対面は多分、あいつが初めての防衛任務で腰抜かしちまったあの時。抱きかかえたあいつの顔はカワイイなとは思ったけど。それ以上でも、それ以下でもない。

1年はクラスが違ったし、そもそもランクもポジションも違うから無理に会おうとしなければ本当に会わない。
2年で同じクラスになってからだった。全てが動き出したのは。

いきなりぐらりと揺れる車内。吊り革を咄嗟につかむ。俺の前にいたやつは吊り革に左手を伸ばすも間に合わず、ぐらりと傾く体を支えるように右手で咄嗟に支える。その手は思った以上にあいつの顔の横についてしまっていたらしい。

「っと、ワリ。」

『ううん、大丈夫…。』

出水「大丈夫かぁ、ヒメぇ。」

そう言う出水の言葉を聞いて、初めてそこにいたのがあいつだと気づいた。
車内だからか、小さく大丈夫と言うあいつにまぁドアに引っ付いてたしなとなんとなしに様子を見てみる。

米屋「っ」

待て待て待て、なんだよその反応は。

米屋「(さっきは普通に返事してたじゃん！？)」

俯きがちで、髪の毛がカーテンのようになっていて顔は見えないけど、その分頸は丸見えなわけで。ほんのり赤くなった頸から目が離せない。

出水が男子の腕を引き上げると同時に、俯きがちだったあいつの顔が上がる。

ふぅと息を吐きつつも、顔の熱を覚ますようにパタパタと仰ぐその姿が嫌に輝いて見えてしまった。…後ろの海のせいだと信じれるものなら信じたい。

米屋「(あ、好きだわコレ。)」

ざわつく胸に、素直にそう直感した。
これは多分、本気で好きになるやつだ。
やけにドクドクと大きな音を心臓に、少し震える指先。
それを抑えるかのように、ぎゅっと強くつり革をつかむ。目線はまだそのまま。

ハッとして、気持ちが顔に出ていないか少し心配だったけど、ニヤニヤとした弾バカの顔を見るに、ポーカーフェイスとはいかなかったんだろうな。最悪。

…競争率高そう。玉狛に移った京介も好きだって聞いたし。

米屋「…ま、なるようになるか。」

出水「俺はお前の味方だぜ。」

米屋「京介じゃねぇのかよ。」

出水「あいつイケメンじゃん。なんか腹立つし。」

米屋「俺もイケメンだろうがよぉ。」

出水「お前はまぁ、なんか許せる。」

米屋「んだよ。」

『出水っ、出水っ、見て、海だよ。』

出水「へいへい、見たら分かるよ。」

うぅ〜ん、先は長そう。