【WT】青春まったなし！！！ (ページ3)

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試合終了後、姫坂はベイルアウト用のマットの前で立ち尽くしていた。
試合中から王子と姫坂の雰囲気は最悪。終われば確実に怒られると自覚していた。

王子「ヒメ。」

王子の声に、ピクリと肩を揺らす。
重い重い一歩目を踏み出し、作戦室へと出た。

王子「そこに座って。」

樫尾はこの雰囲気にオロオロとしている。蔵内と橘高も静かに見守る様子だ。

王子「作戦、聞いてたよね。なんで無視したの？」

『…東さんは、落とせる時に落とすべきだと思いました。』

王子「今回はたまたまそれで勝てたけど、奥におっくんやコアラがいたかもしれないだろ。

その場合、ヒメは生き残れる算段があったの？」

『……。』

当時の姫坂は、焦っていた。射手としてランク戦に参加し始め、うまくできない自分にヤキモキしていた。
バイパーがうまく使えず、王子の足を間違って撃ってしまったこともあった。

そして、後から入隊した樫尾がぐんぐん成長していくことに嫉妬した。
早く自分も使い物になるようにならないと、自分の存在意義がなくなってしまうと、焦っていた。
そんな醜い感情を表に出したくなくて、王子にバレたくなくて、俯き黙る。

そんな姫坂の姿に、王子が痺れを切らし始めたのを、蔵内は勘づいていた。
このままでは、隊がいけない方向へと向かってしまう。

王子「…ぼくがヒメやカシオをスカウトしたのは、君たちの腕が立つからだけじゃない。

自分で、戦況を理解して動けると思ったからだ。
仲間や敵のことを正しく理解し、立案・実行が理性的にできると判断したから、君たちをスカウトした。

ぼくの見立て違いだったのかな。それが出来ないようなら、もう」

蔵内「王子。」
橘高「王子くん。」

王子はハッとして姫坂を見る。
目にいっぱいの涙を溜めて、零さんとする姫坂の姿を。

王子の言葉の先を理解したのだろう。そのまま口を開くことなく隊室を出て行ってしまった。

王子「ぼくは…、みんなごめん。少し頭を冷やすよ。」