ファンクラブ#005 【灰谷竜胆】

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「お前ってファンクラブ？の新しいメンバーだろ？」


びしょ濡れの蘭くんにお情け程度だがハンカチを渡す



すぐ絞れるほど水を吹くんだのかびしょ濡れのハンカチが帰ってきた。




『は、はい…』



本人に知られるのは恥ずかしい


びしょびしょのハンカチをしまう




けどファンクラブが出来てもおかしくない。絶対私たち以外にもいるはずだ





チラリと盗み見ると綺麗な三つ編みからぽたぽた雫が落ちる



私、今灰谷竜胆くんを待ちながら灰谷蘭くんと喋ってる…？！



なんという天国



マスクの下で盛大にニヤけてしまう






お互い喋らなくても落ち着く。緊張はするけど



「マスクちゃんはなんでマスクずっとつけてるの？」



『う、噂の通りです』



「俺ら学校にほとんどいねぇから噂とか知らねぇし」



ごもっともだ





『全体的にブサイクですけど鼻から下が壊滅的でして』



「ふーん？」




この話題苦手なんだよな…興味も逸れたみたいだし良かった




「……じゃあ誰も知らないマスクの下」





「俺に見せてよ」





いきなり近くなる距離に目を強く瞑ってしまう



『へッ？！いや、やだっ！』



「兄貴！！！」






ビク、と震えてしまうのが分かる。


そんな大きな声出すなんて



「じょ〜だんだよ竜胆。そんな怖い顔すんなって」



マスクは無事だがあんなに怒る竜胆くんを初めて見た





私を灰谷くんから離すために竜胆くんは手を掴んで引き寄せる




勢い余ってよろけてしまう




硬い、けどいい匂いがする。





「ひゅー、マスクちゃんだいた〜ん」


懲りもしないで私をからかう灰谷くんのせいで私が竜胆くんの腕の中に居るのが分かった







『あ、いや…ごめんなさい』


すぐ離れようとすると彼が離そうとしない



な、なんで？



「帰んぞ。兄貴傘」


「おー、もう手遅れなくらいびしょ濡れなんだけどな」



傘は2本。そのうち1本は灰谷くんが差してどんどん歩いてる




え、私は濡れて帰れと？




竜胆くんが傘を差す。



「早く来いよ」



え、




もしかして




相合傘…？！



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

竜胆くんと相合傘とかしてみたい…。



そんな欲望からです







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