31*彼ジャージ ページ32
Aside
溜まっていたストレスを練習試合に発散した気がする。
指とボールのフィット感も良かった。
手をグーパーグーパーと閉じて開いてを繰り返しながら手の感触を確かめつつ、烏野のお見送り。
仲良くなっちゃって今度遊ぼーなんて約束をした。
「これ、着てください。」
体育館の出口で手渡されたのは男子バレー部のジャージ。
不機嫌そうにいつもより眉間のシワを携えた国見ちゃんから手渡されたんだけど…
「寒くないよ?」
「手足出過ぎで、やらしい目で見られてるのに自覚無いんですか。ね、矢巾さん」
「え、俺?
俺としては眼福です。」
「はぁ…矢巾さんってそういう所ありますよね。」
慣れちゃったからだけど、確かにバレーのユニフォームって裾も袖も短い…
これ以上矢巾ちゃん絡まれたら可哀想かなと思いつつ、国見ちゃんのジャージを羽織ってみた。
…細いなぁって思っていたけど背丈も徹くらいあるし、勿論ジャージも大きく、おしりまで隠れる。
大会も近いし、汗かいたから冷えて風邪引くのは防げそう。
「見て。ぶかぶか。
国見ちゃんの匂いするね。」
袖も私には長くて手をぶらぶらして見せると、さらに不機嫌な顔なんだけど…
今日はいつもより表情筋が柔らかいね。
「ごめん、呼ばれてるから行くね!
ジャージありがと!」
羽織ったジャージのジッパーを上げて、烏野高校を見送ったあと佳奈ちゃん筆頭に着ているジャージを突っ込まれる。
「彼ジャージかよ!」
「ね、こんなにおっきいと思わなかった。
徹のと同じサイズ。」
「校内で恋愛してんの珍し過ぎて、真っ赤なAとか久しぶりに見た。」
「…赤くないもん。」
背の高い友達…いや、佳奈ちゃん以外みんな私より大きいんだけどさ。
頭撫でるのやめてよー。
試合で動いたから崩れたのもあるけど、ぐちゃぐちゃになった髪をほどきながら、ゆっくりと更衣室に向かう。
「Aさん。
見せ付けられてる気分なんですけど。」
隣に並ぶ高梨ちゃんは睨まれてはないけど、どこか面白くなさそうな顔でこっち見てる。
…気持ちは分からなくもない。
「見せつけてないよ〜。
国見ちゃんが貸してくれただけだもーん。」
「…」
後輩は可愛いけど、そろそろちょーっと生意気かなぁ。
Aさんそこまで広ーい心は持ち合わせてませーん。
さぁ、帰んべ〜。
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夢ってすごい - めっちゃ話面白くて大好きです!続き読みたいんですがもし良ければパスワードって教えて頂けますか? (2021年2月25日 19時) (レス) id: 4e60d50856 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 八雲さん» コメントありがとうございます!国見ちゃん良いですよね!更新頑張りますね!良いお年を♪ (2019年12月31日 22時) (レス) id: d3f4b94a5b (このIDを非表示/違反報告)
八雲 - この小説を読んで、国見ちゃんがすごく好きになりました。更新楽しみにしながら生きてます笑おーえんしてます! (2019年12月31日 21時) (レス) id: e27e1c0612 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 碧凪さん» コメントありがとうございます!更新頑張りますね! (2019年12月21日 20時) (レス) id: d3f4b94a5b (このIDを非表示/違反報告)
碧凪 - 初コメ失礼。めっちゃおもしろいし、更新早いからすごい嬉しい、これからも頑張って、よろしく! (2019年12月21日 18時) (レス) id: 0fcfd6af6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モカ | 作成日時:2019年12月19日 21時