月の光に照らされて、俺には君の姿が見えない。

月の光の都市伝説 ページ24

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三浪が亡くなった3日後には、坂下航斗と言う男子生徒が、彼女が亡くなった病院のすぐ側の雑木林で三浪と同じような状態で発見された。

その2日後には芥田春香と言う女子生徒が、彼女の家のすぐ近くの田んぼのあぜ道で。

更にその2日後には＿＿＿と、立て続けに生徒が亡くなる1年B組は、すぐに噂になった。


担任教師である棚田には、さっぱり分かりはしなかった。何故彼らが突然亡くなってしまったのか。


しかし、B組の生徒達は違った。



「美紅も春香も坂下も、ズルいよね」


「俺達だって、橋田さんのこと好きなのにな」


「でも美紅は一番Aちゃんと仲良かったよね」


「坂下も勉強教えるって体でよく喋ってたし」


「春香っちも何だかんだ持ち込んだお菓子とか、Aにあげてたし、仲良さそうだったね」



そんな口々に言い募る生徒の会話を聞き、棚田はハッとした。

もしや、と。


彼女は、この学校に通いたかった。だから病院から出られないのを知りながらこの学校を受験し、この1年B組に籍を置いた。

しかし彼女にとってのイレギュラーは、学友達が彼女の元を訪れ、そして仲良くなったことだろう。


彼女だってまだ、16歳の少女だ。

願ってしまったのではないだろうか。


もっと彼らと共にいたい、と。

もしも、本当にそうならば。


彼女と一番仲が良かったとされる三浪美紅が一番初めに亡くなったのも、よく勉強を教えると言って話していたと言う坂下航斗が次に亡くなったのも、3番目の犠牲者である芥田春香が亡くなったのにも。

全てに、説明がついてしまう。


彼女は、きっとそんな願いを持ってしまったから。

そして、それを彼らも望んでしまったから。


有り得ない、非科学的も甚だしい、馬鹿馬鹿しい結論を口にした。



「……1年B組(私達)が、彼女を都市伝説にしてしまったのか」



と。

彼女が本当に都市伝説になってしまっているのなら。

きっとその力は、彼女が1人じゃなくなるようにと言う、彼らの願いで。1人でいたくないと言う、彼女の願いで。

仲の良かった者から順に、彼女が欲する世界の構築のために、この1年B組を全員、道連れにするつもりなのだと。


だから私は彼らに聞いた。



「……三浪、坂下、芥田の他に、特に親しそうにしていたのは？」



一体、次の犠牲者が誰なのかを。








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