キセキとラノベ 286 ページ16
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赤司は歩き去ろうとする彼女を肩を掴み、ぐいっと引いて振り向かせて。
一気に距離を詰めて、後頭部に手を回して。
__________彼女との距離は、0になって。
大きく目を見開いた彼女は、一瞬、何が起こったのか理解出来なかった。
目の前に見えるのは、苦手で、言うなれば"嫌い"な、赤司征十郎の顔。
気づけば、赤司に唇を奪われていて。
力を込めて胸板を押し返す。
油断していたのか、バランスを崩した赤司が彼女から離れる。
「…何を、してるんですか……そんなに、嫌われたいんですか…」
「嫌われたいなんて思うはずがないだろう?だが…こうでもすれば、少なくともこれから、Aが僕を忘れることは無い」
「…酷いですよ、中学の時から…本当に…」
確かに、簡単に忘れられるわけがない。
恐怖と同時に、嫌な記憶を刻まれたのだから。
それでも赤司は笑った。
嫌われると分かっていても。それでも、その選択をしたのは何故なのか。
それは赤司しか知らない。
これ以上はこの場所にいたくないと思うのは自然だろうが、赤司はそれを許さなかった。
後頭部を抑えていた手は、腕を掴んでいて。
「…っ、離してください!私には…待っていてくれている人がいるんです!」
「僕だって、君をずっと待っているよ」
「そう言う意味ではありません…!離してください!言ったでしょう?答えはNOです、何をされても揺らぎません、いい加減にしてください…こんなだから私は…あなたよりも、」
その先の言葉が紡がれる事はなく、彼女は口を閉ざした。
程なくして、腕を振り払って彼女は脇目も振らずに走り出した。
そんな彼女を、赤司が追いかけることは無かった。
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挿絵:薫様
使わせて頂きました。
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西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» すいません、ふたりを危うく去らせる所でした← 氷室さんは前からフラグ立てていたので、こう言う結果になるだろうと思いこうなりました。頑張りますね!ありがとうございます! (2016年7月12日 19時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
如月レン - 西谷彩香さん» 氷室さんは、夢主に何の話をするのか、気になります。← 更新、頑張って下さい。 (2016年7月12日 18時) (レス) id: 84fcaaee34 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 叢桜牙さん» そうですね、棚倉は冷たいようで最近冷たくないですから私にもわかりません← ありがとうございます! (2016年6月19日 21時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
叢桜牙 - 最新話読みました。紫原と氷室にどう反応するのでしょうか。更新頑張ってください。 (2016年6月19日 21時) (レス) id: a6d00fee4e (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» 気づけばそうなってましたね。本来従兄弟なので、きっとそこまで悪くなかったのだろうという事でこうなりました。ありがとうございます! (2016年6月18日 14時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2016年4月3日 9時