検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:29,407 hit

キセキとラノベ 286 ページ16

*








赤司は歩き去ろうとする彼女を肩を掴み、ぐいっと引いて振り向かせて。
一気に距離を詰めて、後頭部に手を回して。

__________彼女との距離は、0になって。





大きく目を見開いた彼女は、一瞬、何が起こったのか理解出来なかった。
目の前に見えるのは、苦手で、言うなれば"嫌い"な、赤司征十郎の顔。

気づけば、赤司に唇を奪われていて。


力を込めて胸板を押し返す。
油断していたのか、バランスを崩した赤司が彼女から離れる。



「…何を、してるんですか……そんなに、嫌われたいんですか…」


「嫌われたいなんて思うはずがないだろう?だが…こうでもすれば、少なくともこれから、Aが僕を忘れることは無い」


「…酷いですよ、中学の時から…本当に…」



確かに、簡単に忘れられるわけがない。
恐怖と同時に、嫌な記憶を刻まれたのだから。

それでも赤司は笑った。
嫌われると分かっていても。それでも、その選択をしたのは何故なのか。
それは赤司しか知らない。


これ以上はこの場所にいたくないと思うのは自然だろうが、赤司はそれを許さなかった。
後頭部を抑えていた手は、腕を掴んでいて。



「…っ、離してください!私には…待っていてくれている人がいるんです!」


「僕だって、君をずっと待っているよ」


「そう言う意味ではありません…!離してください!言ったでしょう?答えはNOです、何をされても揺らぎません、いい加減にしてください…こんなだから私は…あなたよりも、」



その先の言葉が紡がれる事はなく、彼女は口を閉ざした。
程なくして、腕を振り払って彼女は脇目も振らずに走り出した。

そんな彼女を、赤司が追いかけることは無かった。




*


挿絵:薫様

使わせて頂きました。




*

キセキとラノベ 287→←キセキとラノベ 285



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
101人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» すいません、ふたりを危うく去らせる所でした← 氷室さんは前からフラグ立てていたので、こう言う結果になるだろうと思いこうなりました。頑張りますね!ありがとうございます! (2016年7月12日 19時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
如月レン - 西谷彩香さん» 氷室さんは、夢主に何の話をするのか、気になります。← 更新、頑張って下さい。 (2016年7月12日 18時) (レス) id: 84fcaaee34 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 叢桜牙さん» そうですね、棚倉は冷たいようで最近冷たくないですから私にもわかりません← ありがとうございます! (2016年6月19日 21時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
叢桜牙 - 最新話読みました。紫原と氷室にどう反応するのでしょうか。更新頑張ってください。 (2016年6月19日 21時) (レス) id: a6d00fee4e (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» 気づけばそうなってましたね。本来従兄弟なので、きっとそこまで悪くなかったのだろうという事でこうなりました。ありがとうございます! (2016年6月18日 14時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2016年4月3日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。