踏切に向かって【孤爪研磨】 (ページ11)

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初恋 *Ⅰ ページ11

*

「…孤爪、君……あ、のね＿＿＿＿＿＿」

…数ヶ月後。
Aは、驚異的な回復力を見せ、昏睡状態から目覚めてものの数週間で、支えにつかまって歩き回れるようになり。

さらにその数週間後には、支えなしでも歩けるようになった。

あの、Aが目覚めた日。俺は、Aに告白して。
Aは＿＿＿＿＿＿＿。

「研磨くーん！見てて、少し走れるよ！」

「うん…無茶だけは、しないでね」

「研磨君は心配性だなあ…まあ、そんなところも好きだけどね」

「…さらっとそういう事…言わないでよ」

「………研磨君が、大好きなの…っ！」

「そういう意味じゃないから」

この通り、付き合ってる。ちなみに、なんでいなくなったあの日の前日、俺に踏切の噂を教えてくれたのかを聞くと。

「え、単にその日知ったからだったと思うよ。基本、人から聞いて人に流すのが好きだから」

だ、そうで。随分と簡単な理由だった。
だけど、Aは嬉しそうに、くすぐったそうに笑った。

ねえ、大好き。ずっと、待ってた。
今度は、Aに待ってもらうから。

「ねえ、A」

「何？」

「俺、Aのこと大好き。けど…好きじゃ、足りない」

「え？」

「…愛してる、から」

「わ、私もだよ！」

*