96 山の獅子 ページ3
白雪の爆弾発言に驚いているのはAとオビだけだった。
父親であること、そして積もる話もあるだろうし彼らの本拠地に行って休憩するというところまでまとまっていたらしい。
武風と名乗った彼に、感動の再会を邪魔しちゃ悪いかなと思って黙ってたと言われ、顔から火が出る気がした。
＊
山の獅子というだけあって、彼らの本拠地は山の中に隠れていた。
だが、もっとひっそりとしているのかと思っていたが、小さな村並みには拓けた土地だった。
獅子一行が着いた途端にわらわらと人が出てくる。
大丈夫か、鉤爪は、この人たちは、怪我人は、とか口々に喋る人々を的確に指示する武風はやっぱり頭領に相応しい人だ。
ちなみにAは有無を言わせず寝台に運ばれた。
白雪の手当てを受け、強制的に横にさせられる。
「もう寝るのは良いんだけどなあ」
「安眠できる薬草置いておくね」
全然聞いてくれていない。
あんなに寝てばかりいたのだから寝られるもんかと思うが逆らうと怖いので目を瞑る。
あ、良い匂いがする。
＊
目を開けると暗闇だった。
「わぁ……」と呆れと驚きが混じった微妙な声が漏れる。
休息のおかげで身体にまとわりついていた気怠さもない。
「調子はどうだい」
暗闇の中で影が動く。
やがて灯ったあかりに照らされたのはオビだった。
「もうすっかり、いててて」
身体を起こすと、思ったより痛くて顔が歪む。
だがそれよりもふわりと漂った料理の匂いに意識が行く。
窓の外で宴でもしているのだろうか。
焼いたお肉の良い匂いに「くぅ」とAのお腹が小さく鳴いた。
「……聞こえた？」
「っはは。元気そうで良かったよ。
攫われた時から何も食べてないでしょう」
言われてみて思い出す。
あの船の中では空腹なんて感じる暇がなかった。
元々小食の性質
「何か食べに行こうか。
でもその前に話が」
「何？」
「俺じゃないんだよねぇ」
呼んでくるよ、とオビが窓から消えて数分。
トントンと控えめに戸を叩く音がした。
「お姉さん、良い？」
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七草(プロフ) - 紗夜さん» お返事くださっていたのにすみません！！全く気付いておりませんでした！己の睡眠欲に負けないよう頑張ります！ありがとうございます！！！ (2021年8月16日 10時) (
レス) id: 36eff566e0 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜(プロフ) - 続きを…続きをください！ (2021年6月26日 4時) (レス) id: 5c2d649dea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七草 | 作成日時：2021年5月4日 20時
